米当局者は、ロシアがウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を続ける理由の一つに、ウクライナの防空システムを枯渇させる目的があるとの見方を示した。

ロイター通信によると、中東を訪問中の国防総省のコリン・カール政策担当国防次官は、記者らに「彼らはウクライナの防空システムを圧倒、消耗させようとしている」と説明。「ロシアの勝利の論理はわかっている。われわれは、それを機能させないために、ウクライナが防空を維持するために必要とするものを得られるよう決意している」と語った。

ロシア軍は15日、キーウをはじめとする10地域に対して、侵攻開始以来最大となる96発のミサイル攻撃を実施した。民間のエネルギー施設が狙われ、ウクライナのデニス・シュミハリ首相によると、エネルギーシステムのほぼ半数が被害を受けた。

そうした中、オースティン国防長官は16日の会見で、ウクライナに供与した地対空ミサイルシステム「NASAMS」が運用を開始したと発表。ミサイルの迎撃に100%成功していると強調した。

米政府は今月10日には、スティンガー対空システムの追加提供、「ホーク」防空システムのミサイルのほか、新たに「アベンジャー」防空システムを供与すると発表している。ウクライナ議会から、米議員に対して「C-RAM」と呼ばれる迎撃兵器の提供の要請があったとも報じられている。

ロシアのミサイル備蓄は?

ウクライナのレズニコウ国防相は先月、ロシアは侵攻開始以来、保有する1844発の「イスカンデル」「カリブル」「空中発射型巡航ミサイル」のうち、1235発を使用したと分析を示した。またウクライナ国家安全保障・国防会議のダニーロフ書記は、ロシアには当初保有していた高精度ミサイルの25%~28%しか残っていないと述べていた。

英国防省も先月16日、この数日前に行われた大規模ミサイル攻撃により、ロシアの長距離ミサイルの備蓄が弱体化し「今後、大量の標的を攻撃するロシアの能力を制限する可能性が高い」と評価を発表していた。

それでもロシアが広範な攻撃を展開できる背景について、ニューヨークタイムズはイランや北朝鮮からの供与、国内生産の増強、迎撃ミサイルの使用など複数の可能性を指摘している。

ウクライナ空軍によると、ロシア軍は17日に行った攻撃で、少なくとも10発のS-300地対空ミサイルを使用した。S-300は、ソ連時代の1978年に防空のために設計され、アジア諸国、東欧にも輸出された。最新のものは、航空機、ドローン、弾道ミサイルを攻撃する能力を備える。ウクライナでも保有していおり、16日にポーランドに着弾し、2人の死者を出したミサイルもS-300だった。ウクライナ側は否定しているものの、NATOトップは、ロシア軍の攻撃に対してウクライナが発射したミサイルの可能性が高いとの見方を示している。

弾頭なしミサイルも

ウクライナのメディアは、17日にキーウで撃ち落としたミサイルに、弾頭をダミーに入れ替えた核ミサイルがあったと報じた。核弾頭の代わりに「ブロック」がねじ込まれていたという。同メディアは、ロシアの備蓄が危機的水準まで低下していることを示すものだとしつつ、ロシアには数に困らないほどの核ミサイルがあると指摘している。