プーチン氏死亡のデマはロシアが流布、ウクライナ情報機関

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先月出回ったプーチン大統領死亡説について、ウクライナの国防省情報総局のアンドリー・ユソフ報道官は、デマはロシア政府が流布したとの考えを示した。

ウクラインスカヤ・プラウダによると、1日、ウクライナのラジオ番組のインタビューに応じたユソフ氏は、「ウクライナのリスナーにとっては甘い音楽に聞こえるが」としつつ、デマはロシア国内向けに画策されたものだと主張。目的は「社会がどのように反応するかを観察することだ。個人やエリート、メディアの反応を見るため」であり、「このようにして、諜報機関の活動の上に構築された帝国は、支配を継続する方法を学習している」と述べた。さらに「これでお終いではなく、特定の作戦であることは明らかだ」と加えた。

これとは別に、ウクライナ国家安全保障・国防会議のオレクシー・ダニロフ書記は、来年の大統領選の下準備との見方を示している。

ロシア大統領府は先月、ウクライナ情勢にかかわらず、次期大統領選と26年の議会選挙を予定通り実施すべきとの考えを明らかにしている。

先月26日、テレグラムのチャンネル「General SVR」は、プーチン大統領がモスクワ時間の午後8時42分、ヴァルダイにある大統領公邸で医師による蘇生の努力の甲斐なく他界したと投稿した。 同チャンネルは、プーチン氏の健康不安説や影武者説、プリゴジン氏生存説などセンセーショナルな内容をたびたび投稿することで知られる。クレムリン内部に詳しい人物による運営とされるが、誤情報の専門家は信頼性に欠けるとしている。

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それにも関わらず、死亡の噂はオーストラリア、イギリス、インドなど各国メディアによって報じられ、SNSで広く拡散された。AP通信によると、投稿は40万回視聴され、2.2万回シェアされたほか、5,000人の新規フォロワー獲得につながったという。

死亡へとつながる一連の投稿が始まったのは23日。チャンネル主は、プーチン氏の邸宅で大きな物音がしたため警備員が駆けつけると、目を白黒させて痙攣している大統領を発見したと説明。医師らは心停止と判断し、公邸内にある最新技術を備えた集中治療室で蘇生処置が施されたと投稿した。

翌日の投稿では、プーチン氏の容体は目を離せない状況にあるとしつつ、同日行われたブラジルのルーラ・ダシルバ大統領との電話会談やカバルダ・バルカル共和国の指導者との会談は、影武者がこなしたと主張した。

死亡デマの前日の25日には、過去24時間で容体が悪化し、医師らは懸命の努力を続けているものの、最悪を覚悟している旨のコメントを投稿していた。

ちなみにロシアのペスコフ大統領報道官は先週、二度にわたって噂を否定している。タス通信によると、同氏は噂を「でっち上げ」と一蹴。大統領は「問題ない」と語った。