クオモNY州知事のコロナ記者会見、国際エミー賞。落胆の声も

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国際テレビ芸術科学アカデミーは20日、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事に国際エミー賞ファウンダーズ・アワードを授与すると発表した。受賞理由について、パンデミック時のリーダーシップと、テレビを上手く活用し、世界の人々に情報を届け、不安を和らげた与えた功績が認められたとしている。

同賞は「文化の違いを超え、人類に共通する人間性に到達した個人や組織に贈られる」もので、過去にアル・ゴア元副大統領、オプラ・ウィンフリー、スティーブン・スピルバーグなどが受賞している。

祝福する声が上がる一方で、ニューヨーク州では3万人以上が死亡するなど、多くの犠牲者が出たことから、クオモ氏の受賞は不適切だと指摘する声も上がった。

4月に親族を介護施設で亡くしたロン・キム(Ron Kim)ニューヨーク州下院議員 (民主党・クイーンズ)はニューヨークポスト紙に、受賞は「もう一つの落胆した瞬間」と述べた。「彼は打ち勝ったとして名声を得ているが、誤っている思う。まだ苦しんでいる人は多い」と語っている。

トム・リード(Tom Reed)下院議員(共和党・ニューヨーク州)は「趣味の悪い冗談」と述べ「多くのアメリカ人は、ハリウッドのエリート層にうんざりしている」と述べた。

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ニューヨーク州共和党の会長を務めるニック・ラングワーシー(Nick Langworthy)氏は「ハリウッドが別の現実世界で生きていることを証明する確固たる証拠であり、ニューヨークで愛する家族を失った多くの人々に不快感を与える賞だ」と批判した。

デイリービースト政治部門の編集者Sam Stein氏は「オバマのノーベル平和賞」とツイートし、価値がないと一蹴した。

MSNBCのコントリビューターNoah Rothman氏は「われわれの社会のほとんどの賞は、素晴らしい特定の行為をたたえ、授与されるわけではないと思い始めている」とツイートした。

なおクオモ氏は先月、新型コロナウイルスとの戦いを記した著書「アメリカン・クライシス」(American Crisis)を発売した。この時も、自画自賛、災害でお金儲けをしているなどと非難を浴びている。

連続111日間の新型コロナ会見

クオモ氏は、ニューヨーク州で最初の新型コロナウイルスの感染者が確認された日の翌日3月2日、ニューヨーク市のデブラシオ市長と共同会見を実施した。この日以降、感染が抑制された6月19日まで111日間連続で会見を行った。

当初は地元政府や地元メディアのストリーミング配信のみだったが、クオモ氏の会見は、データや科学的根拠に基づく明確な対策に加え、個人的なエピソードを交えたアドバイスが安心感を与えるとして評判となった
会見はその後、CNNやMSNBC、Foxニュースなど全国のケーブルテレビで配信され、5,900万人が視聴したと言われている。

クオモ氏の対応に批判も

新型コロナの感染を抑制したクオモ氏だが、老人ホームに対する対応をめぐり、責任を求める声も高まっている。AP通信は8月、ニューヨーク州の老人ホームの死者数は、公表数字の6,600人を上回り、11,000人の可能性があると報じた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、ニューヨーク市の感染拡大の原因について、クオモ知事とデブラシオ市長による初期の対応の遅れや、ウイルス拡散の可能性を過小評価していたこと、人員や機材の不足など指摘している。

なおNY1とイプソスが10月に実施した世論調査では、ニューヨーク市民の73%がクオモ氏のコロナウイルスの対応を支持している。