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説明なく口座凍結・資金没収、ペイパルに集団訴訟

米電子決済サービス「ペイパル」に対して、口座を凍結され、説明なく資金を奪われたとするユーザーが、損害賠償を求める集団訴訟を提起した。原告団は、同社が個人資産を不法に没収し、組織犯罪を規制する法律に違反したとしている。

米ニュースサイトArs Technicaによると、訴訟は、被害にあったと主張する3人のユーザーがペイパルを訴えたもので、没収された金額は合計で25万ドル近くにのぼる。

原告らは、理由を尋ねたところ、ペイパルは同社の「利用規定」に違反したと回答したが、詳しい経緯については説明が得られなかったと主張。中には、理由を提示するには「召喚令状が必要」と告げられたケースもあったとしている。

原告団は「ペイパルは、アカウントを停止した利用者に適切な通知をせず、自らの規約に違反した」と非難。停止に際して「なぜ口座が停止されたのか、どうすれば停止を解除できるのか、将来的に停止を避けるためにどうすればよいのか、説明がなかった」と訴えている。さらに、180日間の停止期間後に、資金を奪われたとし、ペイパルの利用規約は「(資産を)盗む正当な理由」にはならない、と述べている。

原告の一人、 シバダン・アキルベコフさんは、17万2206.43ドル(1,970万円)を没収されたと訴えた。アキルベコフさんはヒアルロン酸を注入するシワ取り用美容グッズ、ヒアルロン・ペンの店頭販売を行っているが、ビジネスに使用している妻のペイパル口座の金が、説明なく没収されたという。

何度も電話や書簡を送った挙句、ようやく得られたペイパル側の回答は「利用規定違反から生じた損害賠償」というものだった。、アキルベコフさんが実際に口座を制限されるまで、違反したとされる規定の存在も知らなかったという。

その後、ペイパル側からアキルベコフさんに、没収した資金はヒアルロン・ペン購入者の払い戻しに充てたと説明があった。返金を求めた顧客のリストの提示を求めると、ペイパル側から2日以内に送付すると回答があったが、結局未だに受け取っていないという。

2人目の原告、ロニ・シェムトフさんは4万2351.87ドル(485万円)を没収されたが、その理由について、ペイパル側から3度異なる説明を受けた。

最初の説明は「別のペイパルユーザーと同じIPアドレスとコンピュータを使った」ことが違反に当たるというものだった。2度目は、1人で複数のアカウントを作ったことが違反に当たると説明が変わった。なおシェムトフさんはこれを否定している。3度目は、 ヨガスーツを小売価格よりも20~30パーセント安く販売したため、というものだった。

3人目の原告、レナ・エヴァンズさんは、2万6984ドル(300万円)を没収された。エヴァンズさんは、女性たちにポーカーの参加を促す非営利団体「Poker League of Nations」の創設者で、団体の運営とグッズ販売などをeコマースサイト「eBay」を通して行い、その出入金にペイパルを利用していた。

口座の資金を没収したことについてペイパルから説明がなかった。何度もメールで連絡したが返答はなく、「電話も何度もかけたが、人間と直接話せたことは一度もなかった」と主張している。

 ペイパルの広報担当は同サイトに、訴訟については詳細を確認中としており、コメントの求めには「今後、法的に適切な形で回答する」としている。

今回の集団訴訟は、2003年にポーカーの世界大会「World Series of Poker」で優勝したクリス・マネーメーカーの呼びかけがきっかけになったという。

クリス・マネーメーカーは昨年5月、 1万2,000ドルを保留されたとして、ツイッターで「ペイパルに資産を奪われた人は、私の弁護士に気軽に連絡してください。集団訴訟を始める準備をしています」と投稿した。

同氏の弁護士がブルームバーグに話したところでは、訴える意思を示した10日後、ペイパルは「不思議と金を返金した」という。このため、本人は今回の訴訟で主たる原告にはなれないと説明している。

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