NY市地下鉄で、突き落とし事件相次ぐ。自警団が見回り開始

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ブルックリンの地下鉄構内で22日、乗客がプラットホームから突き落とされる事件があった。

ニューヨークポスト紙によると午前11時30分ごろ、車両の座席で寝ていた男は、突然起き上がり、男女のカップルに向かって叫び始めたという。

男は、アトランティックアベニュー・バークレイズセンター駅で降車した2人の後をつけ、一緒にいた男性(29)をプラットホームから突き落とした。
転落した男性は自力でホームに戻り、軽症を負った。ニューヨーク市警察は、監視カメラの映像を公開し、情報の提供を呼びかけている。

ブロードウェイ俳優も被害に

地下鉄では最近、暴行事件が相次いで起きている。17日には、ブロードウェイミュージカル「ハリー・ポッターと呪いの子」のオリジナルキャスト、アレックス・ワイズマン(Alex Weisman)氏(33)がアッパーウエストサイドの103ストリート駅で、男に顔面を殴られた。ワイズマン氏は、網膜裂傷と眼窩を2箇所骨折する重傷を負った。手術を受け、現在は回復に向かっているという。

18日夕方、ブライアントパーク駅でも36歳の郵便局職員が突き落とされ、膝にあざができるなどの軽傷を負った。突き落としたJason Pena容疑者(23)は事件前、男性に金銭を要求していたという。Pena容疑者は1月にもチェルシーの23ストリート駅で、62歳の男性に暴行を加えたとして逮捕されている。

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19日午前には、14ストリート・ユニオンスクエア駅で、車両がプラットフォームに滑り込む直前、男が40代の女性を突き飛ばす事件があった。女性は、線路と路床の間に落ちたため、奇跡的に助かった。軽傷で済んだという。その場で拘束されたAditya Vemulapati容疑者(24)は、殺人未遂および無謀で危険な暴行で起訴された。

これらの事件を受け、自警団のガーディアン・エンジェルス(Guardian Angels)は22日、犯罪を抑制するため、駅の見回りを開始すると発表した。同団体は1979年に創設され、ニューヨーク市で犯罪が多発していた80年代に活躍した。

創設者のカーティス・スリワ(Curtis Sliwa)氏は「地下鉄で、これほど情緒障害にある人物による問題が起きているのを見たことがない」と述べ、「彼らに必要なメンタルヘルスケアを提供することができるのかを確認したい」とテレビ局の取材に語っている。

地下鉄での事件に関して、デブラシオ市長は23日の会見で「非常に懸念している」と述べた。利用者の安全性を高めるため、警察官による警備を強化するほか、メンタルヘルス問題への取り組みを拡大すると記者に語った。