NY州議会下院 クオモ知事の「弾劾調査」開始へ

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老人ホームの死者数に関する疑惑や、セクハラの告発が相次ぐクオモ州知事に対し、ニューヨーク州議会が、弾劾手続きに向けて動き出した。

カール・ヘイスティ(Carl Heastie)下院議長(民主・ブロンクス)は11日、「クオモ氏に対する告発は深刻である」とし、「クオモ知事に対する違法行為の申し立てを調査するため、チャールズ・D・ラヴィン委員長が率いる司法委員会の弾劾調査の開始を許可した」と発表した。

ニューヨークタイムズによると調査内容には、6人が訴え出たセクハラ疑惑のほか、クオモ政権による新型コロナウイルスの老人ホームへの対応が含まれる。ニューヨーク州で現職の知事が弾劾または罷免された場合、1913年以来の出来事になるという。

ヘイスティ氏は「委員会は州の憲法で許可されている通り、証人への質問や、文書の提出、証拠を検証する権限を有する」と述べた。
また弾劾調査は、レティシア・ジェームズ州司法長官が実施している調査を妨害するものではないとしている。

ジェームズ州司法長官は8日、ニューヨーク州南部地区連邦検事局の元検事長代理のジュン・キム(Joon Kim)氏と、雇用法を専門とするアン・クラーク(Anne Clark)氏、2名の外部弁護士を雇い、クオモ氏に対するセクハラ疑惑を調査すると発表している。

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州議会上院トップのアンドレア・スチュワート・カズンズ(Andrea Stewart-Cousins)議員(民主・ヨンカーズ)は7日、クオモ氏に辞任を求めた。これに対しクオモ氏は、辞任はしないとし、進退は弾劾によってのみ決定されうると述べたという。

与党のうちの40%に相当する59人の民主党議員は11日、「住民と州議会の信頼を失った」として、クオモ氏の即時辞任を求める声明に署名した。

デブラシオ市長も同日の定例記者会見で、疑惑は「非常に不快だ」と述べ、クオモ氏の辞任を求めた。

オールバニータイムズユニオンは10日、6人目の告発者に関するセクハラの詳細を報じた。昨年12月、クオモ氏に知事官邸に呼び出された州職員は、体を触られるなどしたという。

ニューヨーク州議会下院は、106人の民主党議員と43人の共和党議員、1人の無所属議員で構成されている。弾劾決議案は過半数で可決される。可決された場合、州上院と控訴裁判所の7人の判事が陪審員役となり、弾劾裁判を行う。