NY地下鉄銃乱射犯 逃走30時間の足取り 人気レストランで昼食も

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地下鉄車両内で銃を乱射し、30人が負傷した事件で、逮捕・起訴されたフランク・ジェームズ(Frank James)被告が、犯行から逮捕までの約30時間の間、観光客に人気の店で食事を取るなど、ニューヨークを満喫していたことがわかった。

逃走の足取り

ジェームズ被告は12日午前8時26分ごろ、ブルックリンの36ストリート駅に近づく電車内で発砲した。その後、電車に乗って逃走。8時40分頃、隣の駅で降りる様子が監視カメラに映っていた。

ニューヨークデイリーニュースが情報筋の話を元に伝えたところによると、9時15分ごろ、広大なグリーンウッド墓地を徒歩で通り抜けたのち、バスでパークスロープに向かった。停留所近くにある小売店「9th Street Quick Stop」で、マスクを購入している。

その日の夜は、マンハッタンに移動し、チェルシー地区にある「チェルシー・インターナショナル・ホテル」に宿泊した。ホテルの斜め向かい側には、ニューヨーク市警察の第10管区警察署がある。

ニューヨーク市警察はこの日の夜、ジェームズ被告を「参考人」に指定し、顔写真を公開した。翌朝には「容疑者」に切り替え、市民からの情報提供を求めた。

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グルメ散策?

ジェームズ被告は翌朝、チャイナタウンに出没。午前10時半頃、若者に人気のカリフォルニアスタイルのおしゃれレストラン「DIme」の屋外席にいる姿が目撃されている。

情報筋はデイリーニュースに「ダッフルバッグを持ち、宙を見つめて座っていた」と、この時の様子を語っている。店の客が警察に通報したが、警官が到着したのは、ジェームズ被告逮捕の一報が流れた後だったという。

その後、ロウアーマンハッタンに移動し、ユダヤ系デリ「カッツ・デリカテッセン」で昼食をとった。同店は、映画「恋人たちの予感」のロケ地として知られ、観光客にも人気のフードスポット。なお、従業員らはジェームズ被告に気づかなかったという。パストラミが有名だが、何をオーダーしたかについては、明らかになっていない。

©mashupreporter

この後、イースト・ヴィレッジのマクドナルド店にいるとの目撃情報が警察に寄せられた。
ジェームズ被告自身も自ら警察に連絡し「君たちは、私を探しているんだろう。私の写真は世間に出回っている。私はマクドナルド周辺にいる」と自身の居場所を明かしたと伝えられている。

警官が駆けつけた際、すでに店から姿を消していたが、周囲にいた人々の情報を元に、午後1時40分逮捕にいたった。拘束時に抵抗はなかった。

これまでにわかっていること

ニューヨーク東部地区連邦検事局は13日、ジェームズ被告について「公共交通システムに対するテロ攻撃、またはその他の暴力」の罪で起訴したと発表した。

発表によると、犯行に使用されたのはグロック17拳銃で、オハイオ州で購入したものだった。犯行時、オレンジ色の反射板のついた上着、黄色のヘルメット、サージカルマスクを着用しており、工事現場の作業員のような出立ちだった。発煙装置を使用して、車内を煙を充満させた上で、発砲した。

犯行の数時間前にレンタル用バンでペンシルバニア州フィラデルフィアからニューヨークに入り、事件現場となった駅から約2ブロック離れた場所に駐車していた。犯行後は車両に戻らず、電車やバスで逃走をはかった。車中からは花火やガソリンの入ったプラスチック容器、発煙灯が発見された。

捜査当局は、被告に関係するペンシルベニア州の家を家宅捜索し、9mmの弾薬、サイレンサーを装着可能な銃身、AR-15半自動ライフルに使用される223口径の弾薬、テーザー、大容量のライフル弾倉、青色の発煙筒などを押収した。

動機は明かになっていない。被告は過去3年間で450本近くの動画を投稿しており、この中で、過激主義のイデオロギーを頻繁にシェアしていたほか、陰謀論に言及することもあった。ニューヨークについて、ホームレス対策や、地下鉄の安全政策を批判するなどしていた。