クオモNY州知事「影響ない」米最高裁 新型コロナ規制巡る宗教団体の訴えを支持

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米連邦最高裁判所は25日、ニューヨーク州が新型コロナ対策として実施した宗教施設の人数制限に関して、宗教団体の訴えを支持する判決を下した。

クオモ州知事は先月6日、クラスターが発生したブルックリンとクイーンズの一部地域で、学校や非必須事業の閉鎖、宗教施設の人数を10人(もしくは25%以下の少ない方)から25人(もしくは33%)に制限すると発表した
これに対し、超正統派ユダヤ教徒の組織アメリカ・アグダット・イスラエル(Agudath Israel of America)とカトリック・ブルックリン教区は8日、制限は信教の自由を侵害するとして、規制の差し止めを求め、クオモ氏を提訴していた

最高裁の判決は5対4だった。先月就任した保守派のエイミー・コーニー・バレット判事が賛成し、ジョン・ロバーツ長官と3人のリベラル派判事が反対に回った。バレット判事は、リベラル派の故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任で、トランプ氏が指名した3人目の最高裁判事となる。

クオモ氏は26日の電話会見で、これらの地域の感染者数は減少し、現在問題となった規制は行っていないと説明。「先週解除されている」と述べ「実際の影響は全くない」と語った。これらの地域にある宗教施設は現在、定員の50%まで使用可能となっている。さらに「信仰と同時に、人々を安全に保つ必要がある」と述べ、特にホリデーシーズンを通じて警戒が必要だと語った。

裁判所の判決は、宗教施設の使用を10人から25人までに制限する行政命令の一時差し止めを命じるもので、第二巡回控訴裁所の審議まで有効とした。命令は制限の対象となった地域に限定される。
クオモ氏の弁護団は、裁判所の判決はブルックリンのみに適用され、他の地域については影響を及ぼさないと考えていると語っている。

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公衆衛生への懸念も

判決文の多数意見で「判事は公衆衛生の専門家ではなく、同分野での専門知識と責任を持つ人々の判断を尊重すべきだ」としつつ、「パンデミックの最中であっても、憲法を無視することはできない」「規制は礼拝の事実上の禁止であり、信教の自由を保証する憲法修正第1条のまさに核となす部分への攻撃だ」と述べた。またオンラインの礼拝は、カトリックの場合は聖体を受けることができず、正統派ユダヤ教では出席を要する宗教的伝統に反するとして、礼拝所の出席とは異なるとしている。

保守派のロバーツ判事は反対意見で「クオモ氏の制限は、憲法修正第1条に違反する可能性がある。しかしながら、現時点で我々にとってその深刻かつ困難な問いを決定づける必要はない」と述べた。「公衆衛生当局が決定した問題を無効にするのは、重要な問題である」としている。

クオモ氏は判決について「これは裁判所のステートメントだ。彼が誰を任命したかを知っている。彼らのイデオロギーは分かっている」と語った。

下院共和党のケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)院内総務は、「民主党員はパンデミックを理由に、厳格な制限のある宗教を標的にしてきた。それには科学的根拠はなく、最高裁はそれに同意した」と述べ、「信教の自由の勝利だ」と判決を歓迎した。

アメリカ自由人権協会(ACLU)の信教の自由プログラムのダニエル・マッハ(Daniel Mach)ディレクターは声明で「崇拝の自由は、最も大切な基本的権利」としつつ、「他人に危害を加えたり、公衆衛生を危険にさらす権限はない」と述べた。

ニューヨーク自由人権協会の元リーダーで憲法学者のノーマン・シーゲル(Norman Siegel)氏は、今回の判決は他の地域でも、政府による規制に異議を唱えるために引用される可能性があるとニューヨークタイムズに語った

ニューヨーク州では検査陽性率が3.18%に上昇しており、25日の新規感染者数は6,933人だった。現在3,000人以上が入院。死者数は67人で、6月中旬の水準に並んだ。