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「ヒーロー」から一転 クオモ氏 元側近の胸触った疑いで起訴

パンデミック中にリーダーシップを発揮し、「ヒーロー」と称されたクオモ前ニューヨーク州知事だが、セクハラ疑惑を巡って、刑事訴追される事態に発展した。

州都オールバニーの保安官事務所は28日、訴追に相当する理由があるとし、クオモ氏を起訴したことを明らかにした

オールバニーの裁判所に提出された起訴状には、クオモ氏が昨年12月、州知事官邸で「意図的に、正当な目的なく、被害者のブラウスに無理やり手を入れて、体の一部に触れた」とされており、「被害者を貶め、自身の性的欲求を満足させる目的」で左の胸を触ったと記されている。捜査官は一連の行為について、「強制接触の軽罪」にあたると主張している。

昨年12月以降、複数人の女性がクオモ氏から職場やイベント会場などでセクハラを受けたと告発した。
レティシア・ジェームズ州司法長官は外部弁護士を雇い、5カ月間にわたる調査を実施。168ページに及ぶ報告書で、11人の女性に対し「連邦法および州法違反となるセクハラ」行為があったと結論付けた。クオモ氏は、これらの疑惑について当初から一貫して否定していたが、議会が弾劾に動く可能性が高まると、8月に辞任を発表した。

被害者は誰?

ニューヨークタイムズは、起訴状にある犯罪事実は、元側近のブリタニー・コミッソー(Brittany Commisso)さんに対するものだと伝えている。

州司法長官の報告書によると、クオモ氏は、コミッソーさんを知事官邸に呼び出し、ドアを閉めた上で、ブラウスの中に手を入れてブラジャーの上から胸に触った。コミッソーさんに対する不適切な行為は、容姿に対する冗談から、結婚生活や交友関係に至るプライベートな質問、ハグ、頬や唇へのキス、腰やお尻、胸に触れるなど身体的接触にまで及んだと報告されている。

ただし報告者では、クオモ氏がコミッソーさんの胸に触れたのは11月16日とされており、起訴状に記された日付と異なっている。

コミッソーさんは今年8月、オールバニー郡の保安官事務所に被害届を提出しており、この際、同事務所のクレイグ・アップル保安官は、被害者の主張が裏付けられた場合、「軽罪に問われる可能性がある」と語っていた。

被害届の提出後、CBSニュースのインタビューに答えたコミッソーさんは「彼がやったことは犯罪だ。彼は法律を破った」と述べ、「責任を取らなければならない」と告発の理由を述べていた。

クオモ氏は11月17日、オールバニー裁判所への出廷を求められている。

異例のプロセス

ニューヨークタイムズによると、オールバニー地区のデビッド・ソアレス検事長らは、起訴状の提出を知らされておらず、「寝耳に水」と話している。

軽罪の強制的接触(forcible touching)罪で有罪となった場合、最高で1年の懲役が科される可能性がある。ただし被害者が18歳を超えているため、性犯罪者として登録されることはないという。

証拠品として、携帯電話のテキストメッセージや、州警察の12月7日の航空記録、ブラックベリーのPINメッセージ、議事堂の入館記録などが提出されたと報じられている。

起訴の一報に対して、クオモ氏の代理人リタ・グラヴィン(Rita Glavin)弁護士は声明で、クオモ氏によるセクハラはなかったと否定。アップル保安官は、検事に捜査内容を知らせておらず、訴追の動機は「明らかに不適切」で、「プロの法執行機関のやることではない」と批判した。

なお起訴状は、保安官事務所のエイミー・コワルスキー捜査官の名で提出されている。

グラヴィン氏は今月初めに発表した報告書で、コミッソーさんの主張は「物事が発展したバージョン」だと指摘。州司法長官の報告書では、クオモ氏とコミッソーさんの間のプライベートな交流部分に関する証言が省かれたと批判している。

クオモ氏の報道官リッチ・アゾパルディ(Rich Azzopardi)氏も声明で、保安官による提訴のプロセスには、不明な点があると指摘。セクハラ疑惑を追及したレティシア・ジェームズ司法長官が、今週末にも知事選に名乗りを上げようとしていると述べ、「オールバニーに渦巻く政治的な動機」に基づくものだと非難した。

ジェームズ司法長官は声明で、調査は「公平に行われた」と反論。今回の刑事訴追は「われわれの調査報告書の結果を、さらに裏付けるものだ」と述べた。

ジェームズ氏は29日、来年の州知事選に出馬する意向を明らかにした。

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