住む家がない!?セクハラで辞任発表のクオモNY州知事

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セクハラ問題を巡って責任追及の声が強まっていたニューヨーク州のクオモ知事は10日、テレビ会見を開き、辞任を発表した。

今月3日、レティシア・ジェームズ州司法長官は、5カ月間に渡る調査を終え、クオモ氏から11人の女性に対してセクハラ行為があったと結論づけた。報告を受け、党内から辞任の圧力が高まると同時に、州議会は弾劾に向けて準備を開始していた。

会見は調査に対する反論から始まった。クオモ氏は、司法長官の報告書には「偏見と公平性の欠如」があり、「最も深刻な申し立てでさえも、信頼にたる事実に基づいていない」と批判。「不適切な行為があったと主張することが、セクハラを結論づけるものではない」と語った。

一方、被害女性らが申し立てた行為を挙げつつ、自身は友情や愛情の表現、ユーモアやジョークで行なったつもりだが、傷つけることになってしまったと反省の意を示した。「一線を超えたと思うことはない」と述べた上で、世代的、文化的変化を認識するべきだったと語った。

クオモ氏は「戦い抜くことが、私の直感が示すところだ」と述べ、セクハラの判断は政治動機に基づいており、不公平で真実ではないと批判を繰り返す一方で、今後の政治的・法的論争に政府の時間と税金の浪費をしてはならないと説明。デルタ株の感染拡大で、政府が真に機能しなければならないときに、エネルギーを浪費してはならず、自らがその原因になるわけにはいかないと、辞任決断の理由を語った。

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「状況を鑑みて、私が役に立てる最良の方法は、身を引いて、政府に統治を取り戻させること」と語り、キャシー・ホーク副知事に「シームレス」な政権移譲をすると約束した。辞任は14日後に有効になるという。

辞任後、住む家がない?

現在オールバニの知事官邸で暮らしているクオモ氏だが、公の記録では、自身の名義の住宅はない。このため、目下の課題は家探しになりそうだとニューヨークポスト紙は報じている。

クオモ氏はかつて、ウエストチェスター郡マウントキスコにある4ベッドルームの住宅で、セレブシェフのサンドラ・リー氏と暮らしていた。しかし住宅はリー氏の名義となっており、破局後の2019年にクオモ氏が出て行った後、185万ドルで売りに出されたという。

自身の家がなくとも、裕福な家系のクオモ氏には、母親や兄弟の豪邸がある。弟でCNNのキャスターを務めるクリス・クオモ氏はサウスハンプトンに290万ドルの住宅を所有している。クリス氏は自身が新型コロナウイルスに感染した際、地下室から番組の収録を行った。またクオモ氏は会見の最中、自宅療養中のクリス氏に中継を繋ぎ、闘病の様子について質問を行なったこともある。

母親のマチルダ氏(89)は、マンハッタンの高級住宅地サットンプレースにあるプール付きのアパートメントに住んでいるほか、ファッションデザイナーのケネス・コールと結婚した妹のマリアさんは、ウエストチェスターの家に加えて、オバマ氏が住むマーサズ・ヴィニヤード島に住宅を所有している。また姉や妹もマンハッタンやロングアイランドにコンドミニアムがある。

とりあえずの住処には困らなそうだが、ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長の息子で、州知事選予備選の共和党候補者として名乗りをあげているアンドリュー氏は、クオモ氏の引越し先について「(父の名を冠した)マリオ橋の下に住む可能性がある」と冗談を飛ばした。

共和党の市長候補カーティス・スリワ氏は、クオモ氏が弟の家に行くだろうと予測。そこは「ゴッドファーザーに出てくるコルレオーネの混合物のようになるだろう」と同紙に語っている。