NYクレーン落下、過去にも死亡事故起こしていた

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ニューヨーク市で26日朝、高層ビルの建設現場でクレーンが出火し、巨大なブームが地上に落下する事故があった。12人が負傷した。消防局によると、負傷した民間人のうち8人は軽傷で、1人は重傷を負ったが、命に別状はないという。

事故原因は調査中だが、関係者はニューヨーク・デイリーニューズに対し、油圧油が、加熱された金属プレートに漏出し、突発的な火災が発生した可能性があると語っている。

SNSには、燃えさかるタワークレーンや、長さ約55メートルのブームが折れ、隣のビルにぶつかる様子が投稿された。

過去にも複数回の死亡事故

作業に使用されていたタワークレーンを所有する会社や運転士は、過去にも建設現場で死亡事故を起こしていた。

クレーンは、クイーンズを拠点とするニューヨーク・クレーン・アンド・イクイップメント社のものだった。「キング・オブ・クレーン」との異名で知られる故ジェームス・ロマ氏が創業した。これまで、民間企業としては米国史上最大規模の再開発とされるハドソンヤードや、ワールド・トレード・センターの建設工事に関わってきた。

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AP通信によると、2008年に同社が携わった建設現場で、クレーン倒壊による死亡事故が2件発生している。3月には、マンハッタン東部で、7人が死亡。5月にも別の建設現場で、2人が死亡した。

また同年9月、ハドソンヤードで、48歳の建設作業員が40階から転落死する事故があった。クレーンは別の会社のものだったが、運転士は、今回の事故でクレーンを操業していたクリス・ヴァン・デュイン(Chris Van Duyne)氏(62)だった。

デュイン氏は、タワークレーンにあるプラットフォームから、安全柵であるガードレールを切断し、作業を行なっていた。

市は、デュイン氏と兄のジェームズ・ヴァン・ダイン氏を、市の建設基準に違反し、公共の安全を危険にさらしたとして起訴。2人は、8カ月間クレーンの運転免許を停止する処分を受け、それぞれ2万5000ドルの罰金を支払った。

デイリーニューズ紙によると、兄弟は、マフィアに関連する下請け会社、DFCストラクチャーズ社から雇用されていた。同社は、犯罪組織ルッケーゼ一家の関係者ジョセフ・ファマ氏が経営するディファーマ・コンクリートの関連会社だという。なお、ファマ氏は連邦法の恐喝で有罪判決を受けた後、経営から退いた。