米著名サッカージャーナリスト、W杯試合中に死亡

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米国の著名なサッカージャーナリスト、グラント・ウォール(Grant Wahl)さんが9日、カタールで死亡したことが分かった。48歳だった。

遺族によると、ウォールさんは、ルサイル・アイコニック・スタジアムで行われていた準々決勝、オランダ対アルゼンチン戦の取材中に倒れたという。

CBSニュースは、競技場のプレス席で、心臓発作を起こしたと伝えた。

ウォールさんは、自身が運営するブログで、W杯期間中の体調不良を訴えていたという。5日の投稿で「3週間の睡眠不足や高いストレス、大量の仕事で、ついに体が壊れた」と明かしていた。風邪の症状が10日続き、アメリカ対オランダ戦で悪化したと述べ、「胸の上部が、新たなレベルの圧迫と不快感」に悩まされていると説明。病院で診断を受けると「気管支炎の可能性がある」と告げられたという。抗生物質などを処方されたが「まだ良くない」と綴っていた。

ウォールさんの代理人はCBSに、延長戦に入った際「急性の痛み」を訴え、救急車で病院に搬送されたと話した。

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ウォールさんはプリンストン大学を卒業後、スポーツイラストレイテッドでスポーツライターとして活躍。サブスタックでサッカー情報を配信する傍ら、CBSスポーツやFoxスポーツで、特派員や解説を行っていた。2007年にロサンゼルス・ギャラクシーに移籍したデビッド・ベッカムに関する著書「The Beckham Experiment」はニューヨークタイムズのベストセラー入りを果たした。CBSは、米国で最も有名なサッカーレポーターの1人として、米サッカー業界の地位の向上に貢献したと伝えている。

なおウォールさんの兄弟で、シアトル在住のエリック・ウォールさんは9日、インスタグラムの投稿で、自分はゲイだと明かした上、ウォールさんがワールドカップでレインボーシャツを着ていたのは、「私のため」と説明。声を詰まらせながら「彼は健康だった。殺害の脅迫を受けていると私に語っていた。彼は殺されたと思っている」と他殺の可能性を主張していた。

なおウォールさんは先月21日、ツイッターでレインボーのTシャツを着用し、競技場に入ろうとしたところ、警備員から入場を拒否されたと投稿。30分近く拘束された後、許可されたとツイートしていた。

亡くなったウォールさんの妻は、感染症の専門家でバイデン政権のコロナ諮問委員会のメンバー、セリーヌ・R・ガウンダー博士。ニューヨークポスト紙によると、セリーヌさんは、夫の死亡に関し、すでに米政府と連絡を取っているという。