W杯中に突然死の米ジャーナリスト、死因が判明

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ワールドカップの取材中に死亡した著名な米国人サッカージャーナリスト、グラント・ウォール(Grant Wahl)さん(48)の死因が明らかになった。妻でバイデン政権のコロナ諮問委員会のメンバー、セリーヌ・ガウンダー博士が14日、CBSの情報番組で詳細を語った

ウォールさんは9日、カタールのルサイル・アイコニック・スタジアムで行われていた準々決勝の試合中に倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された

「彼は健康だったため、私を含め、何らかの事件性があったのかと考えた」と話す司会者に、ガウンダー氏は、ニューヨーク市検視局の検視で、大動脈瘤が破裂したことがわかったと説明。病気は「長い間、醸成されてきた可能性があり、何らかの理由で、あの時起きた」と述べた。

ウォールさんは亡くなる前、自身のブログで、取材で睡眠不足が続いていたことや、風邪をこじらせ「胸の上部が圧迫され、不快感がある」と不調を訴えていた。現地で診察を受け、医師から「気管支炎の可能性がある」と告げられたとも明かした。

ガウンダー氏は番組に出演後、サブスタックを更新し、ウォールさんは「自覚症状がないまま上行大動脈瘤が徐々に大きくなり、破裂」したことで死亡したと報告。ウォールさんが感じていた胸の圧迫感は「初期症状の可能性がある」と指摘し、「心肺蘇生や電気ショックでも、救うことはできなかっただろう」と述べた。死亡に「不審な点はなかった」と事件性を否定した。

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ウォールさんは今回の大会で、W杯の会場の建設に関わった移民労働者の人権問題を批判し、LGBTQの権利の保護を訴えていた。先月21日には、自身のツイッターで、レインボーがプリントされたTシャツを着てスタジアムに入場しようとした際、警備員に拘束されたと投稿していた。

ウォールさんが死亡した日、兄弟のエリックさんはSNSで、Tシャツを着たのは、ゲイである自分のためだと主張。現地で「殺害の脅迫を受けていた」と明かすなど、他殺の可能性も否定できないとの考えを示していた。

エリックさんは12日、自身のツイッターを更新し「肺血栓だった可能性がある」とこれまでの主張を改めた。

ウォールさんはプリンストン大学で政治を学んだ後、スポーツイラストレイテッドで約20年間、スポーツライターとして活躍。CBSスポーツやFoxスポーツでも特派員として解説を行っていた。パンデミック期間中に、スポーツイラストレイテッドを解雇された後、ブログ「Fútbol with Grant Wahl」やポッドキャストの番組でサッカー情報を配信していた。

2007年にロサンゼルス・ギャラクシーに移籍したデビッド・ベッカムに関する著書「The Beckham Experiment」は、ニューヨークタイムズのベストセラー入りを果たした。CBSは、米国で最も有名なサッカージャーナリストの1人として、米サッカー業界の地位の向上に貢献したと伝えている。