W杯 イラン人記者、米代表選手に「差別の国」

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サッカーワールドカップに出場中の米男子代表サッカーチーム(USMNT)のコーチやキャプテンが、28日の記者会見で、イラン人の記者から政治的な質問を投げかけられる場面があった。

国内の移民政策やペルシャ湾の海軍艦艇について尋ねられたグレッグ・バーホルター監督は「政治については、よく分からない。私はサッカーのコーチだ」と直接的な回答を避けた。

USMNTがSNSに投稿したイランの国旗について尋ねられると、「そのことについて全く知らなかった」と述べ、「われわれにできることは、選手やスタッフを代表して謝罪することだけだ。私たちはそれに関与していない」と加えた。

チームの公式アカウントには、中央のエンブレムを省いたイラン国旗が投稿され、同国からの反発を招いていた。(投稿は後に削除、または修正された)

記者はキャプテンのタイラー・アダムス選手に対し、イランの国名は「アイラン」と発音するのではないと訂正を求めた上、「黒人に対する差別が横行している国を代表していますが、あなたはOKなのですか?」と皮肉な質問をした。

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アダムス氏は、発音について謝罪。「差別はどこにでもある」とした上で、「過去数年間、海外で暮らし、異なる文化に適応し、それらにある種、同化する必要があったが、一つ分かったことは、米国では、われわれは日々進歩し続けているだ」と回答。自身はアフリカ系アメリカ人のバックグラウンドを持ち、白人家庭に育ったため、異なる文化に順応するのは難しいことではなかったが、誰もがそうではないと指摘。「あなたが私に国の発音を教えてくれたように、もちろん時間はかかるが、教育を通じて理解することが、非常に重要だと思う」と述べた。

Foxニュースのサッカー解説者は、若きチームリーダーの対応について「品位がある」と絶賛した。

イランでは、ヒジャブの被り方が不適切だとして拘束されたマフサ・アミニさん(22)が死亡したことで、各地で激しい抗議デモが続いている。

21日に行われたイングランド戦では、抗議への連帯を示し、国家を斉唱を拒否した代表選手もいた。CNNによると、これらの選手は、革命防衛隊(IRGC)から呼び出しを受けたとという。29日の米国戦で、政治的な抗議活動を行った場合、代表チームの家族は「暴行や拷問」などに直面する可能性があると脅されたとも伝えている