「ロシアはNATOと西側諸国の戦争に移行」、EU高官

5001

26日、日・EU次官級協議で東京を訪れたステファノ・サンニーノ欧州対外活動庁事務総長は、記者会見で、ロシアはウクライナ侵攻を「NATOと西側に対する戦争という考え」に移行していると語った。

サンニーノ氏は、ドイツや米国が決定した戦車の供給に関して、いわれのない侵攻に対するウクライナの自衛を助けるためとしつつ、「武器供給という観点では、この最新の展開は状況の進化で、ロシアが戦争を別のステージに進め始めたことだと思う」と、ロシアが招いたものだと強調。ロシアの攻撃は、市民や都市に対する「無差別攻撃」であり、もはや軍事目標ではないと加えた。

NATOこそが「新たな段階」に進めているとロシア側がみなすのではないかと聞かれると、「プーチンは特別軍事作戦から、いまやNATOと西側に対する戦争という考えに移行している」と述べた。

ドイツ政府は25日、ウクライナにレオパルト2戦車14台を送り、同盟国に再輸出を許可する方針を固めた。これに続いてバイデン米大統領も、エイブラムス戦車31台をウクライナに提供する計画を発表した。

ロシア側はこれに強く反発。アナトリー・アントノフ駐米ロシア大使は、戦車供給は「防衛兵器」の議論を正当化することは不可能だと主張し、「ロシア連邦に対する露骨な挑発行為であり、現在の紛争において、誰が本当の侵略者であるのか、誰も幻想を抱くべきではない」と非難した。

Advertisement

Tass通信によると、ロシア大統領府のペスコフ報道官は27日、会見で、「緊張の高まりは、なによりもまず、ワシントンの圧力の下に行われているワシントンとヨーロッパの首都による決定のせいだ」と主張。「それは武器や戦車などの供給、現在進行中の航空機に関する話し合いのことだ」と牽制した。

戦車の次は戦闘機

戦車の供給を確保したウクライナは、次の目標としてF-16戦闘機を求める声を強めている。

ウクライナ国防相顧問のユーリ・サク氏は、The Hillの取材に、戦闘機確保のためにあらゆる手段を講じると答えたほか、ディミトロ・クレバ外務大臣は25日、ツイッターに「新たなタスクがある」と投稿し、その中に「欧米の戦闘機」を挙げた。

ウクライナ空軍の報道官ユリー・イーナット氏は、一歩進んで、戦闘機の種類は決定済みで、すでに訓練生が米国入りしている、とウクライナのメディアに話した。

イーナット氏は「我が軍のパイロットが米国に行っており、訓練のための資金も割り当てられている」と説明。「ウクライナに提供される見込みの高い航空機の種類と、それに関わる訓練条件はすでに決定されている」と語った。

なお同氏は昨年10月、明日にでも海外で訓練を受ける準備が整った十数人のパイロットのグループを編成したと明らかにした。パイロットらは「若く、有望で、戦闘経験があり、英語を話す」と述べ、「あとはパートナー国が、提供可能な装備を決定するだけだ」と語っていた。

戦闘機の種類については、ソ連製のミグ戦闘機やスホーイ(1991年に最後に購入)では、強力な巡航ミサイルを使用した軍事的脅威に対抗できないと話し、「F-15やF-16の西洋の戦闘機を切実に必要としている。議論しなければならない緊急の課題だ」と訴えていた。

25日のホワイトハウスの会見で、戦闘機供給の可能性についてコメントを求められた国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は、「ウクライナがより多くのシステムを要求することを責めることはできない」と述べた上で「彼らが戦闘機について話すのは初めてではないが、その点について発表することはない」と、回答を控えた。