ロシア戦車工場 週6日12時間労働に、囚人も活用

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ロシアの一部の軍事企業が、週6日12時間制に移行しているという。

ディフェンス・エクスプレスによると、ロステックやロスコスモス、アルマズ・アンティといった国営企業の子会社で、ウラル山脈近くにある企業が長時間シフトに移行しており、これには主要戦車メーカー「ウラルヴァゴンザヴォード」や、大砲の主要サプライヤーで、地対空ミサイルの電子機器を手掛ける「ウラルトランスマッシュ」が含まれる。

同サイトは、タス通信がウラル地域の労働組合組織の会長、Andrey Vetluzhskikhの話として伝えたものだとしている。

新たな労働時間に移行するものの、新規発注に伴う生産量が増加しているわけでなく、実際の理由は、産業の人員不足にある可能性が高いという。

2022年11月時点のロシアの軍需産業の労働力不足は約2万人で、地方自治体では、住まいや福利厚生を約束するなどして、失業者を採用する取り組みを行なっているという。スヴェルドロフスク州の刑務所は先月、ウラルヴァゴンザヴォードの工場で、戦車修理のために250人が雇用されると発表した。受刑者らは溶接工、工作機械やクレーンのオペレーターとして働き、機密の設備の扱いは認められない。給与の4%から20%が、国によって差し引かれるという。

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囚人は前線の戦力ともされている。ロシアの独立メディア「Mediazona」によると、9月と10月の2ヶ月間で刑務所から2万3,000人が「消滅」した。これらの時期は、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループが受刑者らの勧誘活動を実施した時期と重なる。9月頃、プーチン大統領と親しいとされる同グループの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が刑務所を訪ね勧誘する動画が、SNSに度々出回っていた。

なおイギリス国防省は19日の報告で、ウクライナ東部ドンバス地域にある都市バフムート周辺に展開するワグネル・グループは、刑務所で採用した兵士を、指揮官や装備を守るための「消耗品」として利用していると分析を示している。