ロシア傭兵組織 囚人兵士を「消耗品」に

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イギリス国防省は19日、ウクライナ東部ドンバス地域にある都市バフムート周辺の戦闘について、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループが、指揮官や装備を保護するために、刑務所で採用した兵士を「消耗品」として使用していると分析を示した。

同省は、ワグネルはここ数ヶ月で、十分な訓練を受けていない大量の受刑者を利用するための戦術を開発したと指摘。兵士らは、商用の衛星画像に前進軸と攻撃目標が挿入されたものを確認できるスマホを持たされ、その一方で、小隊の指揮官レベル以上は、隠れた場所から、小型ドローンが撮影したビデオを見ながら無線で指示を送っている可能性がある。

兵士らは、事前に決められたルートを進むよう命じられるが、常に味方の火力支援や装甲車両による支援が提供されるわけではない。ただし、無許可で逸脱すれば処刑されると脅されているともいう。

国防省の説明によると、こうした「残忍な戦術」は、ワグネルで「消耗品」と考えられている刑務所で採用した新米兵を犠牲にし、組織で貴重とされる経験豊富な指揮官や装甲車両を保護することを目的にしたものだという。

ウクライナの情報機関の分析では、ワグネルの傭兵は組織全体で8,000人を超え、このうちの大半が服役中にスカウトされた者から成る。実際、ロシアのウクライナ侵攻開始後、プーチン大統領と親しいとされる同グループの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が刑務所を訪ね勧誘する動画が、SNSに度々出回っている。

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残忍な話は絶えず、今月中旬には、ワグネルに関係するテレグラムチャンネルで、ウクライナに投降し、捕虜交換でロシアに戻されたとする戦闘員が、ハンマーで撲殺される動画が出回った。ビデオは、見せしめの効果を狙った可能性が指摘されている。

ガーディアンによると、この男性は9月にウクライナ軍の捕虜となった。ウクライナ側の調べに、刑務所を出るために参加し、すぐに投降する計画を立てたと自白。さらにウクライナ軍に加わり、ロシアと戦いたいなどと話していた。

プリゴジン氏は、この戦闘員を「国民を裏切り、仲間を裏切り、わざと裏切った」と批判。「犬には犬らしい死が待っている」と述べるなどしている。