ニューヨーク市 今年の観光客66%減少。回復に4年

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ニューヨーク市への観光を促進する市の機関NYC & Companyは16日、2024年までの旅行傾向に関する報告書で、観光客が2019年の水準まで回復するには、4年間を要するとの見通しを発表した。

同市の観光客は10年連続で増加しており、昨年は国内外から6,600万人が訪問した。2020年は2,290万人で、昨年に比べ66%減少する見通し。
国内客は、前年の3分の1(2,050万人)に減少し、海外からの観光客は80%減の240万人を見込んでいる。なお国内客には、新型コロナウイルスの救援活動のために訪問した医療従事者やエッセンシャルワーカーも含まれる。

NYC & Companyは、来年第1四半期に広範なワクチン接種計画が実施されることで、春後半から初夏にかけて、短距離の国内客が回復し始めるだうと見通しを示した。観光施設の入場者数の制限が解除されることで、回復はより早まる可能性があるとしている。

一方、外国人観光客の回復には、より時間がかかるだろうと予測している。2022年に大規模なイベントや集会の制限が解除された場合、2023年にパンデミック前の6,500万人まで回復し、2024年には6,920万人になると予測している。なお2001年の同時多発テロ事件以降、外国人観光客の数が回復するまで4年間を要したという。

ソース:NYC & Company

有色人種に大きなダメージ

NYC & Companyの2019年の報告書では、市内の観光業は約40万人の雇用創出し、700億ドルの経済活動を生み出した。

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ニューヨーク市の10月末の失業率は14.1%で、全国より2倍以上高い。130万人以上が失業手当を受給している。

Center for New York City Affairsの経済財政政策のトップJames A. Parrott氏は、観光業の喪失は教育水準の低い労働者に深刻な影響を与えるとニューヨークタイムズに語っている。同氏によると、ホスピタリティ産業は過去10年間で13万人の雇用を追加したという。
「観光ブームは、学位を持たないニューヨーカーにかなりの賃金増加をもたらした。80%は有色人種の労働者であり、回復の遅れは、雇用を提供してきたホテルやレストランの職が無くなる可能性が高い」と述べた。

なおホリデー期間中の大型イベントに関して、メイシーズ・サンクスギビングデーのパレードや、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式、タイムズスクエアのカウントダウンイベントは無観客で実施することが決定している。ニューヨークを代表するホリデーイベント、ラジオ・シティ・ロケッツのダンスショー「クリスマス・スペクタキュラー」は1933年の公演開始以来初めて中止となった。
また、観光客に人気のブロードウェイミュージカルは、来年5月30日までの全公演中止を発表している。