下院議長がバイデン氏への弾劾調査を指示、共和党の主張する疑惑とは?

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共和党のケビン・マッカーシー下院議長は13日、バイデン大統領に対する弾劾調査を開始すると発表した。

民主党指導部は、大統領が不正行為をした証拠はひとつも示されておらず、誤った弾劾調査だと反発。税金の無駄遣いでありMAGA共和党員は国民の要望に応えていないとした上で、「下院民主党は大統領を最後まで守る」と宣言した。

マッカーシー氏は会見で、「共和党議員らはバイデン大統領の行為をめぐる深刻な疑惑を明らかにしてきた。これらの疑惑を総合すると汚職の文化を描き出している」と説明。「バイデン大統領は家族のビジネス取引に関する自分の知識について米国民に嘘をついた。目撃者は、大統領は複数回にわたる電話に加わり、夕食会を開き、その結果、車や数百万ドルが息子および息子のビジネスパートナーに渡ったと証言している」と語った。

7月31日、下院監視委員会ではハンター氏の元ビジネスパートナーのデヴォン・アーチャー氏(49)を招いて約4時間におよぶ非公開の公聴会を行なった。

トランスクリプトの抜粋によると、アーチャー氏は、2014年と2015年に当時副大統領だったバイデン氏が、ハンター氏の海外のビジネス関係者とワシントンD.Cで夕食の機会を持ったと明かした。2014年春の夕食の場には、カザフスタンのオリガルヒ、ケネス・ラキシェフ氏(Kenes Rakishev)と同国の元首相のカリム・マシモフ氏(Karim Massimov)、モスクワのユー リ・ルシコフ元市長の元妻、エレーナ・バトゥーリナ氏(Yelena Baturina)らが参加していた。アーチャー氏はまた、バトゥーリナ氏が同年2月に「Rosemont Seneca Thornton」に350万ドルを送金したと認めた。共和党議員らは同社について、ハンター氏とアーチャー氏が関係する企業としており、送金されたうちの100万ドルはアーチャー氏に渡り、残りは2人が海外からの送金を受け取っていた企業「Rosemont Seneca Bohai」の口座開設の初期資金として使用されたとしている。

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また同年4月12日にはラキシェフ氏からRosemont Seneca Bohaiに142,000ドルが振り込まれたが、これはハンター氏のスポーツカーの購入のための資金だったと話した。

2015年春に同じ場所で行われた夕食では、ブリスマ社幹部のヴァディム・ポザルスキー(Vadym Pozharskyi)氏とカリム・マシモフ氏、ギリシャ正教の司祭らが同席していたという。

アーチャー氏はさらに、ハンター氏はたびたび、海外のビジネス関係者の前で父親に連絡をして、スピーカーフォンで話をさせていたと述べた。そうした場面は20回ほどあったとした。

また、マッカーシー氏は会見で、「銀行の記録が、2,000万ドル近くの支払いがバイデンの家族メンバーや関係者、様々なシェルカンパニーに向けられたことを示している」と説明。続けて「財務省だけでも、米国の銀行が不審な活動として報告したバイデン一家やビジネスの関係者が関与した取引が150件を超えている」と語った。

CBSニュースは昨年、ハンター氏とバイデン氏の弟ジェームズ氏の世界的なビジネスに関わる金融取引150件について、国内の銀行が懸念があるとして報告していたと報じている。

マッカーシー氏は続けて「FBIの信頼のおけるインフォーマントでさえ、バイデン家に対する賄賂を主張している」としたほか、「バイデン氏は公職の立場を、ハンター・バイデン氏のブリスマにおける役割について、ハンター氏のビジネスパートナーとつなぐことに利用した」と主張。「深刻な疑惑にもかかわらず、大統領の家族は、バイデン氏自身の政権によって特別待遇を与えられた」と、司法省によるハンター氏の捜査に言及した上で、「これらの疑惑は権力の濫用、妨害、汚職だ。よって、下院委員会にジョー・バイデン大統領に対する正式な弾劾調査を開始するよう指示した」と宣言した。

今年7月、共和党のチャック・グラスリー上院議員は、2020年6月に作成されたFBIの匿名のインフォーマントによる報告文書を公開した。インフォーマントはその中で、2016年にブリスマの創業者、ミコラ・ズロチェフスキー氏(Mykola Zlochevsky)と面会した際に、ウクライナの検事総長による汚職捜査の問題を解決するために「一方のバイデンに500万ドルがかかって、もう一方のバイデンに500万ドルかかる」と話したと報告していた。なお文書は生の報告を記したもので、信憑性が精査されていない。

マッカーシー氏は今月初旬、弾劾調査の賛否を下院で投票にかける意向を示していた。今回採決なしで調査開始に踏み切った点について、記者から矛盾を問われると「彼女が前例を変えた」とナンシー・ペロシ前下院議長に言及。「私は彼女にそうしないよう警告した。それが彼女がやったことで、我々がやったことだ」と語った。

ペロシ氏は2019年9月、投票を行わずにトランプ氏に対する弾劾調査を開始した。約一ヶ月間にわたって司法委員会などが非公開の場で証人の審問を行った後、10月31日に弾劾調査の手続きを定めた決議案の採決を行い、232-196で可決した。

当時共和党議員らは、法の適正手続き(デュー・プロセス)を欠いているとして、厳しく非難していた。