#MeTooの急先鋒 NY州司法トップが女性暴行疑惑で辞任

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7日、ニューヨーク州司法長官のエリック・シュナイダーマン(Eric Schneiderman)氏が突然の辞任を発表した。発表は、ニューヨーカー(The New Yorker)誌が、シュナイダーマン氏が複数の女性に身体的暴力を振るったとする告発記事を公開した、わずか3時間後のことだった。

記事は、シュナイダーマン氏と恋愛関係にあった4人の女性に関するもので、いずれの女性も意に反してシュナイダーマン氏から暴力を振るわれた体験が掲載されている。そのうちの2名、ミッシェル・マニング・バリッシュ(Michelle Manning Barish)さんとタニヤ・セルバラトナム(Tanya Selvaratnam)さんは、他の女性を守るという理由で、実名を公表している。

記事によると、女性たちは共通して、シュナイダーマン氏が、意に反して繰り返し殴るなどの暴力をふるったと主張。暴力は飲酒後に度々行われ、時にベッドの中で行われたという。

バリッシュさんとセルバラトナムさんは、シュナイダーマン氏の行いを性的暴行だと考えており、警察に通報していないが、どちらも耳や顔を強く叩かれたり、首を閉められるなどした後に、医師の診察を受けた。セルバラトナムさんは、シュナイダーマン氏から、彼女を付け回し、電話を盗聴することができると警告されたといい、両者とも、別れる場合には殺害する、といった脅迫までも受けていたという。また、3人目の女性は、同様に身体的暴力を繰り返し受けたが、シュナイダーマン氏を恐れるあまり、前面に出ることを控えていると、氏名を公表した2名に語っている。さらに、4人目の女性は弁護士で、シュナイダーマン氏が前金を支払ったことや、拒絶をした際に、顔全体を強く叩かれたため、翌日まで跡が残ったと述べた。先の女性同様に恐怖を感じたといい、傷の証拠写真を同誌に提供しているという。

これら女性との関係は近年のもので、バリッシュさんとの関係は2013年夏から2015年の元旦まで続き、セルバラトナムさんとは2016の夏から2017年の秋まで恋愛の間柄にあった。同誌によると、両者とも40代の急進的な民主党支持派のフェミニストで、マンハッタンに在住している。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑追求などで女性の擁護者として同氏の注目が高まるにつれ、怒りが増していった。

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暴力に関し、シュナイダーマン氏は「プレイであり、同意の上での性的行いだった」と発表。「誰も暴行したことはない。合意のない性行に及んだことはなく、それは私が超えることのない一線だ。」と、女性らの告発を否定した。

否定から一転して辞任へ

しかしながら、ニューヨーク州知事をはじめ、周囲からの辞任の声の高まりを受け、記事公開からわずか数時間で辞任を発表した。

ニューヨークのクオモ州知事は、記事公開後「エリックシュナイダーマンは、司法長官としての努めを果たし続けることはできないと考えている」と個人的見解を述べた。

辞任にあたり、シュナイダーマン氏はウェブサイトを通じて、声明を発表した。
「ニューヨーク州の人々に司法長官として仕えることは、大変光栄で名誉なことでした。過去数時間の間に、深刻な疑惑が私にかけられたが、私は強く抗議しております。これら疑惑は私の職務遂行やオフィスの運営に関するものではないが、現在重要な時期にあって、オフィスの業務を指揮することに実際の支障をきたすこととなります。それゆえ2018年5月8日の業務終了をもって、直ちに辞職することとといたします。」

シュナイダーマン氏は、多くの女性がセクハラによる被害を訴えていたハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏とワインスタインカンパニーらを会社法に違反したとして提訴していた。

また、トランプ政権が打ち出した、イスラム圏6カ国の入国禁止令や、若者の移民救済制度「DACA」(ダカ)の廃止、温暖化対策の撤回、サンクチュアリーシティへの資金停止などの政策に対して、他州と合同で政権を提訴するなど、女性やマイノリティーを支援する司法トップとして知られていた。