ウクライナでのスターリンクの機能制限 第3次世界大戦防ぐため、イーロン・マスク

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イーロン・マスク氏は12日、ツイッターで、ウクライナ軍に対して衛星インターネットサービス「スターリンク」の機能制限を解除すれば、第3次世界大戦に発展しかねないとの考えを示した。

マスク氏は、元宇宙飛行士のスコット・ケリー氏が、スターリンクの機能を回復するべきと主張したことに、「あなたは、メディアやその他のプロパガンダを鵜呑みにしないほど賢明だ」と前置きし、「スターリンクはウクライナの通信のバックボーンだ」と重要性を認めた上で、「しかしながら、第三次世界大戦につながりかねない紛争のエスカレーションを許可するわけにはいかない」と、方針を撤回しない考えを示した。

マスク氏率いるスペースXは、ロシアが侵攻を開始した直後、ウクライナのデジタル変革大臣ミハイロ・フェドロフ氏の呼びかけに応え、スターリンクのターミナルを無償で提供することに同意した。

ガーディアンによると、ウクライナ軍は当初、ロシア軍から激しい攻撃を受けた東部前線で、監視用ドローンのコントロールにスターリンクを活用していたが、戦争による被害が深刻化し他のサービスが利用できなくなる中、同社のサービスへの依存度が増していた。

そうした中、スペースXのグウィン・ショットウェル最高執行責任者は先週、ワシントンD.Cで開かれた会合で、サービスをドローンの操縦への使用を制限する措置を講じたことを明らかにした。同氏は、スターリンクはウクライナで「兵器化」されることを意図したものではなかったと説明。「ウクライナは、意図していない、いかなる合意にも基づかない方法で、これを利用した」とも指摘した。

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突然の措置に、ウクライナ側は反発。ミハイロ・ポドリアック大統領顧問はツイッターで「ウクライナと自由の権利の側に付き、危害を与える道を取らないか、またはロシア側について、殺害と領土の強奪の権利を持つか」、スターリンクはどちらかを選ぶべきだと、対応を非難した。

ケリー氏は、マスク氏に宛てた投稿の中で「大量殺戮の侵略からの防衛は攻撃能力ではない」と、スペースXの決定に反論。「生きるか死ぬかだ。罪のない命が奪われてしまう」と機能回復を訴えた。

マスク氏はまた、これとは別のツイートで、サービスは継続していると念を押しつつ、モラルの問題がより複雑化しているとの認識を滲ませた。

マスク氏は「スペースXの商用ターミナルは、他の商用製品と同様に、私的な利用を意図したもので、軍事用ではない。しかし、それらをオフにする権利は行使していない」とした上で、「正しいことをしようとしているが、その”正しいこと’”が、極めて難しいモラルの問題だ」と投稿した。

ちなみにスペースXは利用規約の中で、スターリンクは攻撃または防衛兵器とともに使用するために設計および意図したものではないと説明しており、軍事用途への変更は「米国輸出管理法」「国際武器取引規則」「輸出管理規則」による規制製品に該当し、米政府からの許可を必要とする場合があるとしている。