米軍「スパイ行為なかった」中国の気球騒動

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米軍制服組のトップ、マーク・ミリー統合参謀本部議長は17日、CBSの番組「CBS News Sunday Morning」で、米国本土の上空で発見された中国の気球にスパイ行為はなかったと語った。

気球は今年2月、イエローストーン国立公園の玄関口として知られるモンタナ州ビリングス上空で確認され、米軍の戦闘機が大西洋上で撃ち落とした。

中国から打ち上げられた気球が米国に到達した理由には、さまざまな説があるが、上空6万メートルの強風によって「軌道を外れた」可能性があるという。ミリー氏によると、気球は当初、ハワイへと向かっていたが「飛行機の特定のモーターは、一定の高度に達すると、上空の強風に逆らうことができない」と説明を加えた。

気球の残骸は海上から引き上げられ、技術専門家が調査を行った。気球に備え付けられたセンサーは、本土上空で全く作動していなかったという。

ミリー氏は「気球による情報収集はなかった。高い信頼のおけるアセスメントだ」と答えた。記者から「偵察気球だったが、スパイをしていなかったことか」と再度尋ねられると、「スパイ気球だと言えるが、高い割合で情報は収集していなかった。中国への情報送信はなかった」と断言した。

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気球の撃墜には、バージニア州にあるラングレー空軍基地の第1戦闘航空団に属する戦闘機F-22ラプターが出動。AIM-9Xサイドワインダーミサイルで撃ち落とした。

ちなみに、ミサイル1発の値段は、40万ドル(5,900万円)とも報じられている。

番組には、作戦を実行したブランドン・テレス大佐も出演。記者から「小型のエンジンを備えた気球を撃つのに、国家で最も洗練された戦闘機というのは、非常にミスマッチのようだとも報じられている。できると確信していたのか?」と尋ねると、テレス氏は「確かだった。疑う余地はない」と語った。戦闘機は、1発で気球を撃墜した。

中国の気球が撃ち落とされた後も、複数の飛行物体が検知され、3日連続で空軍が撃ち落とした。米軍は詳細を明らかにしていないが、このなかには、バルーン愛好家団体が飛ばした「ピコ・バルーン」が含まれていた可能性も伝えられている。なお、パーティなどで使用されるシルバーカラーのピコ・バルーンの値段は、14ドル(約2,000円)程度だという。

国内政治や外交に影響

中国の気球の写真を撮影したのは、ビリングス在住のフォトジャーナリスト、チェイス・ドーク氏だった。

2月1日、自宅付近で白い点が空に浮かんでいるのを目撃したドーク氏は、「地球外生物の飛行機」だと思い、写真とビデオで撮影し、同僚に分析を依頼したという。

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