謎の飛行物体騒動、愛好家団体のバルーンだった可能性

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米軍の戦闘機が撃ち落としたのは、自分たちが飛ばしたバルーンだったのではないかと、ある趣味団体が懸念を示している。

国防総省は4日、大西洋側に到達した中国の偵察気球を撃墜したが、10日以降も3日連続で飛行物体が検知され、空軍が撃ち落とした。3つの物体は回収されておらず、詳細は明らかにされていない。ただし10日に撃墜された物体について国防総省は、小型車ほどの大きさで、中国の気球とは似ても似つかないと発表していた。

Aviation Weekによると、名乗り出たのは、イリノイ州が拠点のバルーン愛好家団体「ノーザン・イリノイ・ボトルキャップ・バルーン・ブリゲード」(NIBBB)。15日、自分たちの”バルーン”が、10日以降「行方不明」になっていることを明らかにした。

同団体が使用しているのは、シルバーカラーの小型の「ピコ・バルーン」で、最後に確認されたのは今月10日、アラスカ沖の38,910フィート上空だった。翌日には、カナダのユーコンテリトリーに向う予定だったという。この日、F-22ラプターは、このエリアに浮かぶ高度約4万フィートの物体にミサイルを発射し、撃ち落とした。

デイリーメールによると、NIBBBが使用していたバルーンは、13.33ドル(約1,900円)で購入できる32インチのマイラーフィルムのバルーンの可能性があるという。普段は主に、パーティーなどのイベントで使用されている。米軍は、これらを40万ドル(約5,400万円)の「サイドワインダー」ミサイルで撃墜した可能性があると伝えた。

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なお愛好家の中には、2〜3万フィート以上の上空まで飛ばすため、マイラー素材以外のバルーンを使用しているという。フェデックスの元技術者はAviation Weekに、日本の横浜社が販売する12ドルのホイル製バルーンは、さらに高高度で長時間弾力性を保つことができると語った。

ピコ・バルーンを製造するシリコンバレーの企業「サイエンティフィック・バルーン・ソリューションズ」社のロン・メドウズCEOはインディペンデントの取材に対し、撃ち落とされたのは、同社のバルーンの可能性があるとしつつも、定かではないと回答した。

バルーンは、「ポプシクル(棒付きアイス)程度」の重さで、10から20グラム程度の極めて軽い積載物を運搬するように設計されていると説明。位置情報を発信する装置を備え付けているが、カメラは装備していないという。商業用航空交通よりも高い43,000フィートで飛行する。2015年頃から運用されており、約15グラムの観測機器や、ソーラーパネル付きGPSトラッカーを搭載しており、座標やコース、速度を送信するという。

メドウズ氏は、製品は「学生が航空と気象について学ぶ教育を目的としたもの」と述べ、「どの国にも脅威を与えていない」ことを強調した。今回話題になるまで、バルーンに対する苦情はなかったといい、「UFOを見た」というのは、おそらくこれらのバルーンだろうとの見解を示した。

バイデン氏は16日、3つの物体について「民間企業、娯楽、または研究機関に関連する気球」の可能性が高く、偵察気球のような中国のスパイ活動とは関係がないと語っている。ただし、未知の空中物体の追跡や監視、撃墜に関する「より厳格な規定」を検討していると述べた。

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)はFoxニュースに対し、趣味団体のNIBBBに連絡を取っていると述べ、国家安全保障会議が物体を特定するだろうと語った。