大統領選ロシア介入疑惑、コミーFBI長官解任〜現在までの流れ

5月9日の大統領によるジェームズ・コミーFBI長官の解任は、2016年大統領選へのロシア介入疑惑をさらに深め、疑惑の解明に向け、司法省によって特別検察官が任命されるに至った。メディアは連日この問題を取り上げ、「弾劾」の言葉も多く聞かれるようになった。ロシア介入疑惑に関し、コミー氏解任から現在までの流れを追う。

5月11日

「”Regardless of recommendation, I was going to fire Comey.”」


(ロッド・ローゼンスタイン司法副長官の)レコメンデーションがなくとも、私はコミーFBI長官を解任するつもりだった。
5月11日のNBCの単独インタビュー。FBIに宛てたレターでは、長官の解任理由を、司法長官・司法副長官のレコメンデーションによるものとしていたが、自らその理由を否定。

5月15日

「トランプ大統領 ロシア外相と駐米ロシア大使に機密情報を漏らす」


5月10日のロシアのラブロフ外相、セルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使との会談で、トランプ大統領がISISに関する重要機密を漏らしたと、ワシントンポスト紙が報じた。

5月16日

「トランプ大統領 フリン氏の捜査中止をコミー長官に要求。コミーメモで明らかに 」


大統領がコミーFBI長官と2月に行ったミーティングの際、フリン前大統領補佐官の捜査をやめるように要求。その発言を書き留めたコミー氏のメモの存在をニューヨークタイムズが報道。資料は、大統領が、司法省およびFBIのロシアとの関係調査に直接的な影響を及ぼそうとした証拠となる。同日、下院監査政府改革委員会で議長を務めるジェイソン・チャフェッツは、FBIに対し、トランプ大統領とコミー長官のやりとりを記録した「メモ、ノート、要約、録音」全てを提出するよう要求した。

5月17日

「上院情報委員会がコミー前FBI長官に証言を要請」


コミーメモの報道を受け、民主党のマーク・ウォーナー上院議員が議長を務める上院情報委員会が、公開および非公開の場でコミー氏に証言するように要請。同時に、現在FBI長官代行を務めるアンドリュー・マッケーブ氏に、コミー氏が用意していた、ホワイトハウス及び司法省役人とコミー氏の接触に関する資料を提出するように要求した。

「司法省 ロバート・モラー元FBI長官をロシア介入疑惑捜査の特別検察官に任命」

ホワイトハウス声明が声明を発表。
「捜査は、選挙陣営と外国当局による共謀がなかった、というすでに我々が知っていることを確認するに過ぎない」

トランプ大統領は翌日(5月18日)早朝、ツイッターを通じて苛立ちを表明した。

「トランプ政権 大統領就任前にフリン元国家安全保障担当補佐官が捜査対象となっていたことを把握」


ニューヨークタイムズによると、国家安全保障担当補佐官だったマイケル・T・フリン氏が、金銭の見返りにトルコのロビイストとして秘密裏に活動したことで捜査の対象となっていた件を、トランプ政権移行チームに報告していた。事実を把握していたにも関わらず、トランプ政権はフリン氏を国家安全保障担当補佐官に任命。任命は、フリン氏の国家機密情報機関のほぼ全ての秘密情報へのアクセスを可能とした。

5月18日

「ロッド・ローゼンスタイン司法副長官 大統領へのメモ提出前に、コミー氏のFBI長官解任を知っていた」


トランプ大統領 記者会見「特別検察官の任命は国を分断」


コロンビアのサントス大統領と会談のあと行われた共同記者会見。司法省による特別検察官の任命を尊重するとしつつ、全体的な流れにおいては魔女狩りだと発言。自身と選挙チームによるロシアとの共謀はない、と改めて否定。また、特別検察官の任命は国家を分断に導く、と意見を述べた。また、コミー氏へフリン氏の捜査を辞めるよう要求したとする報道を否定した。

5月19日

トランプ大統領選挙キャンペーン 明かされていないロシアとの交信が少なくとも18回。


2016年大統領選において、トランプ陣営のフリン氏及びその他のキャンペーンアドバイザー達が、ロシアの政府役人またはクレムリンと繋がりを持つ人物と接触を行なった件で、これまでに公にされていない電話や電子メールを通じた交信が、少なくとも18回あるとロイターが報道。これらの記録はFBIおよび、大統領選へのロシア介入疑惑を調査する議員等が審査を行なっている。情報を明かしたのは、過去または現在政府高官を務める人物で、ロシアとの間で誤った行いや共謀につながる証拠は認められないと話している。

トランプ大統領 FBI長官解任で大統領選ロシア介入疑惑捜査のプレッシャーを取り除いたとロシア外相らに語っていた


ニューヨークタイムズによると、トランプ大統領が、5月10日のロシアのラブロフ外相との会談の際、コミーFBI長官の解任に触れ、「大きなプレッシャー」を取り除いたと話していたがわかった。同紙は、会談内容をまとめた資料をもとに、ホワイトハウス役人がニューヨークタイムズに語ったとしている。
また、「ちょうどFBI長官を解任したところだ。彼はおかしい、狂っている。」などと語ったことも明らかになった。

5月22日

フリン氏 ロシアの大統領選介入捜査に関し、資料の引き渡しを拒否


マイケル・フリン前国家安全保障担当補佐官が、合衆国憲法修正第5条に基づく自己負罪拒否特権を行使し、ロシアの大統領選介入捜査に関する資料の提出を求める上院情報委員会の召喚に応じない意向を伝えた。

フリン氏の代理人は、日ごとに激しさを増すフリン氏に対する公衆の狂乱的な状況と特別検察官の設置が、フリン氏が上院情報委員会に協力する上で、法律的観点から危険な状況を作り出した、と説明。

トランプ大統領 情報機関にロシア疑惑否定を要求していた


ワシントンポストによると、トランプ大統領は、3月にDaniel R. Coats アメリカ合衆国国家情報長官とMichael S. Rogers アメリカ国家安全保障局長官に、大統領選におけるトランプ陣営とロシアの共謀を否定するよう要求した。両氏とも要求に応じることを拒否。

5月25日

クシュナー上級顧問 ロシアの大統領選介入の捜査対象に


NBCによると、大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問がFBIの捜査対象になっていることが、複数の政府関係者の証言で明らかになった。クシュナー氏は、最低でも1回、駐米ロシア大使と12月に面会をしている。また、2015年にロシアの銀行家、セルゲイ・ゴルコフ氏と接触を持っていることが知られている。ゴルコフ氏は、ロシア政府所有のVneshEconomBankの頭取を務めている。同銀行は2014年7月以降、米国のロシア経済制裁の対象となっている。

5月26日

クシュナー上級顧問 ロシアとの間に秘密の連絡経路を提案


ワシントンポストによると、ジャレッド・クシュナー上級顧問が2016年12月に駐米ロシア大使と会談を行った際、大統領政権移行チームとモスクワとの間に、シリアなどの重要問題に関して議論をするための秘密の連絡経路を作るよう提案していた。クシュナー氏による提案は、セルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使によるモスクワへの報告を傍受した内容から、政府関係者が明らかにしたもの。会談はニューヨークのトランプタワーで行われ、マイケル・フリン前国家安全保障担当補佐官も同席していた。

クシュナー大統領上級顧問 公表されていないロシア駐米大使との接触が少なくとも3回


現職または前政府関係者7名が、これまで公表されていない事実として、ロイター通信に明かした。3回のうち2回は、4月から11月の間に電話によって行われた。

6月7日

コミー氏の議会公聴会 事前提出書面の内容が公表「I hope you can let this go」「I need loyalty, I expect loyalty」

8日の上院情報委員会におけるコミー前FBI長官の証言の前日、委員会は本人が事前に提出した書面を公表した。書面は7枚に及び、大統領とコミー前FBI長官が対面や電話で会話した内容が記されている。

書面には、1月27日の一対一の夕食の会話の中で、大統領がコミー氏にFBI長官の職にとどまりたいか質問する一方で、忠誠心を要求するような発言が記されている他、ニューヨークタイムズがコミーメモとして最初に報じた、「彼(フリン)はいいやつだ。放っておいてほしい」など、フリン前大統領補佐官の捜査をやめるように要求する場面も記載されている。また、大統領自身は捜査の対象になっていないと、大統領本人に伝えるべきかどうか、FBI内部で議論したとする内容も記されている。大統領はコミー氏をFBI長官から解任した際、その手紙の中で、3度にわたり自身が捜査対象になっていないと、コミー氏が話したことに感謝している、と記している。