「暗闇の茶番劇」トランプ氏 公判のテレビ放映許可を自ら要求

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トランプ前大統領は、10日にワシントンD.C.の連邦裁判所に提出した文書で、来年3月から始まる自身の公判手続きについて、テレビ放映を許可するべきと主張した。

首都ワシントンの大陪審は8月、2020年大統領選で選挙結果を覆そうとした取り組みをめぐり、トランプ氏を国家を欺いた罪など4つの罪状で起訴した。トランプ氏はこのほかに3つの刑事裁判に直面している。

先週、複数の報道機関から、裁判を担当するタニヤ・チュトカン判事に放映許可を求める申し立てが提出されていた。

トランプ氏の弁護士らは文書で、「根拠のない告訴」と認識している検察は、手続きを秘密に進めようとしており、国民と世界は「バイデン政権とお仲間メディアによる偏った、また聞き報道に頼らざるを得なくなっている」と主張。「検察はこの茶番劇を暗闇で続けることを望んでいる」が「トランプ大統領は光を求めている。裁判があるならば、国内だけでなく世界中のすべての人々がこの事件を直接学び、トランプ大統領が根拠のない、政治的動機に基づく容疑を晴らすのを見届ける機会を持つべきである」と述べ、裁判所はメディアによるテレビ放映の申し立てを遅滞なく認めるべきだとした。

連邦裁判所の規則によると、一部の例外を除いて、裁判所の手続きを写真、録画、録音することが禁止されている。

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トランプ氏の弁護士らは、こうした規則に言及していない。その代わりに「密室で手続きを進めることは、トランプ大統領の権利を侵害し続けると同時に、米国の司法制度に対する信頼をさらに損なう可能性が高い」「政治的反対派が告発する場合、検察と裁判所は公平性と適正手続きを確保するためにこれまで以上の努力をすべき」などと主張している。

刑事被告人になることは政治生命に致命傷となりかねないが、トランプ氏の場合、度重なる訴訟にも関わらず支持率が拡大している。

FiveThirtyEightによる各種世論調査の平均では、大統領経験者としてはじめて刑事訴追された3月末、トランプ氏と2位のフロリダのデサンティス州知事の差は20ポイント程度だったが、それ以来差が広がり続け、現在42ポイントを超えるまでになっている。

先週はニューヨーク州の民事裁判で息子や娘と共に証言台に立ち、各メディアが報道に多くの時間を費やした。

その翌日、トランプ氏の2回目の弾劾裁判で弁護士として加わったデビッド・ショーン氏はCNNの番組で、「トランプ氏の視点からすれば、良い日だ」と述べ、「彼が世論調査で急上昇するのを見ることになると思う」と語った。

ショーン氏は「不公平な訴訟であると彼が信じていること、アメリカも不公平な訴訟であると信じていることに彼は立ち向かった。 率直に言って、なぜ彼を証人として呼んだのかわからない」と主張。「この裁判はサーカスになりつつあり、今回はそれに拍車をかけただけだと思う」と語った。

尋問に端的に答えないトランプ氏に、判事が「彼の言うことをすべて聞きたいわけではない」と注意する場面もあった。

ショーン氏は、こうした言動について「トランプ氏に役立つと思う以外は、どのような目的が果たされたのかは分からない」と指摘。「彼は不公平だと信じている法廷に立ち向かったのだと思う。…彼にとって政治的に世論調査に有利に働くと思う」と繰り返した。