トランプ氏の台頭は、左派の「抑圧的正統性」に対する反発、米コラムニスト

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PBSの番組ファイアリング・ラインに出演したニューヨークタイムズのコラムニスト、フランク・ブルーニ氏は、2016年のトランプ氏の成功は、左派の「抑圧的な正統性」に対する反発によるものと語った。

4月に新著『不満の時代(The Age of Grievance)』を発売した同氏は、批判的人種理論やDEI、マイクロアグレッションといったコンセプトが民主党に対する反発を招いていると思うかと尋ねられると、「ドナルド・トランプ」が最大の例と回答。トランプ氏の成功の理由を調査すると「”私の言葉がパトロールされるのにうんざりだ”、”キャンセルされることを心配したくない”」と人々は言っており、「そこには進歩的左派から来る抑圧的な正統性がある」と語った。「それらのルールを破り、自分には関係ないと言うこの人物に人々は前向きに反応した」と続け、トランプ氏が反逆のモデルとなり、「人々はそれにカタルシスと魅力を見出した」と述べた。

右と左の分裂が拡大する理由に、反発し合う「自由」の定義があるとするブルーニ氏は、右派にとっての典型的な自由は、政府の規制やプライバシーの侵害が可能な限り少ないことを意味する一方で、左派にとっての自由は、差別の被害者にならないことを政府が保障することだと説明。「これらの自由の定義は、それぞれに多大なメリットと有力な論拠を与える」ものだが、「2重の定義は、両者が共通点を見出すことが非常に難しい」と語った。

DEIを例に挙げ、促進派は、強制がなければ元の状態に後退すると考えているが、反対派は新たな”抑圧的正統性”であり、一つの差別をもう一つの差別に置き換えるものと見做していると指摘。仲裁が難しい問題だとしつつ、「自分たちと異なる信念を持つ人々を認めること」により乗り越えられると示唆し、「多元主義的な民主主義」で重要な点は、すべてが要求通りなるのではなく、「市民的および集合的な善」を認識することにあると加えた。