オスカー女優スーザン・サランドン、ユダヤ人への発言謝罪

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新パレスチナ派の集会での発言が物議を醸した女優スーザン・サランドン(77)が、謝罪を表明した。

サランドンは先月17日、マンハッタンのユニオンスクエアで開催された親パレスチナ派の集会で、ユダヤ人は「いまユダヤ人であることに恐怖を感じている人が大勢いる。この国でイスラム教徒がどのようなものかをかみしめているだろう。彼らは頻繁に暴力にさらされている」と発言した。

こうした発言に、ユダヤ教徒とイスラム教徒双方から非難の声が上がった。

国連のイスラエル使節団でスピーチライターを務めていたアビバ・クロンパス氏はXで、アメリカのユダヤ人は「嫌がらせや暴行を受けることなく生きていく価値はない」と言っているようなものだと非難。一方でパキスタン移民の活動家アスラ・ノマーニ氏もサランドンの発言に反発。米国移住後に大学教授の職を得た父親や、起業家の母親、市民権を取得した自分の例を示しつつ、われわれは米国で平等の権利を有しているとSNSで訴えていた。

さらにハリウッドのタレントエージェンシーUTAから契約を解除された。UTAの関係者はPage Sixに、スタッフの一部がサランドンの発言に、非常に傷つけられたと語っている。

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サランドンは1日、自身のSNSのアカウントを更新し、演説はユダヤ系アメリカ人に対するヘイトクライムの増加を懸念したものだったと説明。「ひどい過ちであり、最近までユダヤ人が迫害とは無関係だということを示唆するものだった」と非を認めた。

ヨーロッパでのユダヤ人の大量虐殺や、2018年にピッツバーグで起きたシナゴーグ「Tree of Life」での銃撃事件を挙げ、「彼らは今日に至るまで差別や宗教的な暴力にさらされてきた」と加えた。「これらの現実を軽んじたことを、深く後悔している」と反省の弁を述べたうえで、「平和や真実、正義、全ての人々への思いやりに対するコミットメントを継続する。意見の相違があっても、対話を厭わず、愛を持って対面できることを願っている」と締め括った。

なおサランドン氏は集会での発言以外にも、極右派とされるアカウントがXで投稿した反ユダヤ主義的な偽情報をシェアするなどし、非難を浴びている。

ヘイトクライムが急増

ニューヨーク市では、ハマス・イスラエル紛争の勃発後、イスラム教徒とユダヤ教徒に対するヘイトクライムが急増している。老舗ユダヤ系デリの壁にかぎ十字の落書きが描かれたり、パレスチナのスカーフを巻いた男性が反イスラム的な暴言を浴びせられ、コーヒーを投げつけられたりする事件も起きた。

同市では、10月のヘイトクライム全体の発生件数は、前年同月比で124%増加した。このうち、ユダヤ教徒に対する犯罪は69件で214%増加(昨年同時期は22件)、イスラム教徒への犯罪は8件(昨年は0件)報告されている。