中国企業が軍事基地近くの農地購入 米議員ら警戒呼びかけ

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中国企業がノースダコタ州にある空軍基地近くの土地を購入した件で、共和党の議員51人は26日、バイデン政権の閣僚3人に宛てた書簡で、米国の安全保障にとって憂慮すべき事態と主張。各省庁に「効果的な措置」を取るよう訴えた。FOXニュースが伝えた。

今年春、ノースダコタ州北東部にあるグランドフォークス空軍基地近くにある300エーカーの土地が、山東省を拠点とするフーホン・グループによって購入されたと報じられた。

書簡は、共和党のカルロス・ヒメネス下院議員(フロリダ)の主導によるもので、イエレン財務長官とオースティン国防長官、ヴィルサック農務長官に宛てられた。議員らこの中で、「中国共産党と密接なつながりを持つ製造業社のフーホン・グループ」が、「軍事施設の近くに存在することは、われわれの高度な軍事基地の完全性を損ない、戦略的利益を危険にさらす可能性がある」と警告。商業を隠れ蓑に「スパイ活動が行われる有利な機会」になりかねないと指摘した。

今回の例が「農地の購入を通じて、敵対国が国家安全保障を侵害するモデルとして機能する」ことを懸念しているとしたほか、「米国が中国との強大な競争にある今、軍と安全保障の完全性を守り、軍事支配力を維持し、世界的な軍事的即応性を最大化するために、われわれは使える道具はすべて利用しなければならない」と主張した。

防衛上の懸念に加え、食の安全保障にとっての脅威になるとも指摘。2021年はじめの時点で、外国人投資家が国内の農地3,760万エーカーの利害を有しているとした農務省の分析を示し、今後、このトレンドは増加し、「国内食糧生産と国家の食の安全保障に悪影響を及ぼす可能性について、懸念が高まっている」とした。

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農務省は2020年12月末日時点の分析として、外国人投資家が利害を有する割合は、国内の私有農地の2.9%、全体の1.7%と報告している。

ヒメネス議員らは書簡で、今後の国防総省の対応や、安全保障の観点で外国からの投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)が、今回の購入において優先されたかなど、複数の質問に答えるよう要求した。

フーホン・グループが購入した農地は、基地から20キロメートル離れた場所にある。取得価格は230万ドルで、同社は7億ドルを投じて工場を建設する計画だという。

グランドフォークス空軍基地について、議員らは「並外れた情報収集、監視、偵察能力」を備えているとしている。軍事専門サイトMilitary.comによると、同基地は第319偵察航空団の本拠地で、無人偵察機「RQ-4Bグローバルホーク」など、遠隔操縦航空機システムを運用する唯一の空軍基地だという。