フランス ウクライナに「クロテル」防空システムを供与

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フランスのルコルニュ国防相は、ジュルナル・デュ・ディマンシュのインタビューに答え、地対空防衛用に「クロテル」ミサイルシステム2基と、敵地深くを攻撃する多連装ロケットランチャー (LRU) 2台をウクライナに届けたことを明らかにした

ルコルニュ氏はまた、フランスからウクライナへの兵器供与は5億5000万ユーロに達しており、支援国の中で5本の指に入ると強調した。

これまで提供した兵器には、カエサル155mm自走榴弾砲(2基)とミラン対戦車ミサイル、ミストラル対空ミサイル、VAB装甲車(60台)、HDP-2A2対戦車地雷、NRBC防具(核・放射線・生物学的・化学的脅威に対する防衛)、最新世代の暗視ゴーグル、TRF1 155mm榴弾砲が含まれるという。

さらに議会で2億ユーロの支援基金が可決され、ウクライナはこれをフランス企業への装備の発注や提供済みの兵器のメンテナンスに充てることができるほか、戦闘車両や浮き橋の購入に費やすことができるとも話した。

ロシアはウクライナ全土で、民間のインフラ施設を狙った大規模なミサイル攻撃を続けている。15日には侵攻開始以来最大の96発のミサイルを発射した。ウクライナのデニス・シュミハリ首相は一連の攻撃により、エネルギーシステムのほぼ半数が被害を受けたとしている。

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一方、米国防総省は、ロシアが大量のミサイル攻撃を繰り返す背景には、ウクライナの防空システムを枯渇させる目的もあるとの見方を示している。

クロテルは短距型の離防空ミサイルシステムで、1960年代にフランスのタレス社の前身トムソン-CSFが開発した。これまでさまざまなバリエーションが開発され、約15カ国で運用されている。

典型的な運用は、2~3台の輸送起立発射機と捕捉レーダーを搭載した車両で構成されるという。ただし1990年に登場したクロテルNG(ニュージェネレーション)では、交戦レーダーと捕捉レーダーを同一ユニットで運搬することができるようになり、このため、輸送起立発射機の自律的運用が可能になった。前線で敵の航空機やヘリコプターを破壊すると同時に、巡航ミサイルを攻撃し、後方物を防御するために使用することが可能だという。