NY市警察 ロボット犬出動に非難の声

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ニューヨーク市警察に新たに加わったロボット「デジドッグ」(Digidog)に、非難の声が寄せられている。

12日午後、マンハッタンのキップスベイにある集合住宅で、精神障害を抱えた男性が銃を持ち、妻と赤ちゃんと部屋に立てこもっているとの通報が寄せらた。駆けつけた警官が部屋に突入し、無事に全員を救出した。

現場にはロボット犬も出動。警官と建物に出入りする姿が目撃され、SNSに動画が投稿された。

デジドッグは、ボストン・ダイナミクス社製。人工知能が搭載されており、複数のカメラとライトを備え、周囲を見ながら、双方向の通信ができる。重さは約31キログラム。同社の広報によると、価格は少なくとも7万4000ドル(約800万円)だという。

NYPDは、デジドッグは今回スタンバイしており、使用はしていないと発表している。

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建物にデジドッグが入る様子を撮影していた344 East 28th Streetテナント協会のMelanie Aucello委員長は、amNewYokに対し「医療処置と、情緒を安定するための援助を必要としている時に、低所得者向け住宅で好戦的な戦術を使用するのは、不必要であり衝撃的」と批判。「有色人種のコミュニティは、権力者のスケープゴートとモルモットになっている。・・われわれを威嚇し、権力を示すことを目的としたものだ」と語った。

警察部門の予算を削減し、ソーシャルプログラムへの再配分を求める「デファンド・ザ・ポリス」を支持するジャマール・ボウマン(Jamaal Bowman)下院議員(民主・ニューヨーク州)は、「税金を投入して警察はミリタリーギアを入手した。そしてロボット犬でわれわれを抑圧しようとしている。クレイジーだ。止めるべきだ」と主張した。

市長選に立候補中のマヤ・ワイリー(Maya Wiley)氏やスコット・ストリンガー(Scott Stringer)会計検査官も、デジドッグの購入に異議を唱え、低所得者層に資源を回すよう訴えた。

デブラシオ市長は14日の記者会見で「ビデオはまだ見ていないが、人々を不安に感じさせるのであれば再考する必要がある」と述べ、警察委員長と協議すると語った。

NYPDがデジドッグを使用するのは、今回が初めてではない。今年2月、ブロンクスで人質事件が発生した際も出動している。アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(民主・ニューヨーク州)は、リソース不足に悩む低所得コミュニティをテストする「ロボット監視カメラ地上ドローン」だとして非難している。

NYPDはこの時、ロボットの使用は今回が初めてではなく、1970年代から人質事件や危険物に関連する事件で使用されていると反論していた

コネチカット州のSWATに所属していたMSAセキュリティコンサルタントのJustin Kelley氏は、ロボット技術は「通常7時間かかる膠着状態を、90分に短縮することができる」として、人間を負傷させたり、コストをかけずに問題解決に役立つとCBSニュースに語っている。

ボストン・ダイナミクス社のマイケル・ペリー(Michael Perry)CEOは、ニューヨークタイムズに対し、警察部門で購入されたロボットは4台だと述べた。NYPDのほか、マサチューセッツ州警察やホノルル警察、オランダの警察で導入されているという。契約では、ロボットを武器として派遣することを固く禁じていると語っている。