元メトロポリタン歌劇場の指揮者 ジェームズ・レバイン氏死去

2018年に性的虐待で解雇

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ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)で50年近く指揮者を務めたジェームズ・レバイン(James Levine)氏が、カリフォルニア州パームスプリングスで9日に死去していたことが分かった。77歳だった。17日朝、主治医が明らかにした。ニューヨークタイムズによると、レバイン氏の死因や、発表が遅れた理由は明らかになっていない。

レバイン氏は1971年にMETに加わり、1973年に首席指揮者に就任。1976年から40年以上音楽監督を務め、1916年には名誉音楽監督に就任した。これまでに2,500回以上の公演を指揮してきた。

レバイン氏は、ボストン交響楽団(2004-2011)やミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督(1999-2004)を務めたほか、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、シカゴ交響楽団を率いた。これまでグラミー賞に37回ノミネートされ、10回賞を獲得している。

METのピーター・ゲルブ(Peter Gelb)総裁は訃報を受け、声明で「メトロポリタン歌劇場の137年の歴史の中で、ジェームズ・レバインほど大きな影響を与えたアーティストはいない」と述べ、METの「音楽基準を新たな基準へと発展させた」と賞賛した。

性的虐待で解雇

#MeTooムーブメントが活発化していた2017年、ニューヨークポスト紙とニューヨークタイムズが相次ぎ、レバイン氏の性的虐待疑惑を報じた。当時41歳のレバイン氏が、15歳の少年に対し、複数年にわたり性的虐待を行っていたことなどが明るみに出た。

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これを受け、METは外部による独立調査を行うとし、この間レバイン氏の公演を中止すると発表していた。翌2018年、性的虐待やハラスメントに関する信ぴょう性のある証拠が見つかったとして、レバイン氏を解雇した。

その後レバイン氏は、契約違反および名誉棄損でMETを訴えている。METは反訴したが、2019年にMETと保険業者と350万ドルを支払うことで和解した。メットは反訴の際、レバイン氏が1970年代から1999年にかけて「名声や権力を利用し、芸術家を食い物にし虐待していた」と声明で発表している。

今年1月にはフィレンツェ五月音楽祭劇場で復帰を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。