イラン政府、ヘンリー王子は「戦争犯罪」

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イラン政府は16日、同国の元国防副大臣の処刑をめぐって、英国が制裁を科すとした問題について、ヘンリー王子の「戦争犯罪」に目をつぶっているなどと反論した。

BBCは15日、イランで、同国とイギリスの二重国籍を持つアリレザ・アクバリ(Alireza Akbari)氏の死刑が執行されたと伝えた。同氏は11日、英国のためにスパイ活動を行った罪で有罪判決を受けていた。なお本人は容疑を否認していた。

リシ・スーナク英首相は、処刑に「愕然とした」と述べ、「自国民の人権を尊重しない野蛮な政権によって実行された、冷酷かつ卑怯な行為」とイラン政府を非難。クレヴァリー外相も、イランの検事総長に対する制裁措置を発表した。

これに対し、イランの外務省は、ツイッターの公式アカウントで「英国の王室メンバーは、25人の無実の人々の殺害を、チェスの駒の排除だとみなしており、この問題について後悔も示していない」とヘンリー王子が回顧録が記した内容に触れ、「この戦争犯罪を見て見ぬふりをするような英国政府は、人権に関して他国を説教する立場にない」と反撃した。

戦闘員を「チェスの駒」

ヘンリー王子は、英国陸軍に所属した10年間の間に、アフガン派遣を2度経験している。最初は2007年から2008年で、2度目は2012年から2013年だった。デイリーメールによると、2007年の派遣では、ヘルマンド州で前線航空管制官を務めた。2012年に戻る頃には戦闘ヘリ「アパッチ」に乗り、30mmチェーンガンやヘルファイアミサイルの発射を担当するようになっていた。

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この時の経験について、王子は回顧録の中で「私の数は25で、満足行く数でもないが、恥ずかしくもない」と殺害した敵の人数に言及。別の章では、タリバンの戦闘員を、排除すべき「チェスの駒」と表現している。

一連の発言について、国内外からも非難の声が上がった。英国陸軍のティム・コリンズ大佐は「軍隊における振る舞い方ではなく、考え方でもない」と批判。当のタリバンの司令官からも「注目を集めたいだけのおしゃべりの負け犬」などと挑発的な発言が飛び出した。