Foxビジネス ルー・ドブスの高視聴率番組を急遽打ち切り

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ルー・ドブス氏が司会を務めるFoxビジネスの高視聴率番組「Lou Dobbs Tonight」が急遽を打ち切りとなった。複数メディアが伝えた。

4日、投票システム大手のスマートマティックがFoxコーポレーションとFoxニュース、ドブス氏を含む3人のアンカー、弁護士のルディ・ジュリアーニ氏、シドニー・パウエル氏を相手取り、名誉毀損の訴訟を提起した。これらの組織や個人が共謀して、同社が選挙不正を助けたなどの偽情報を拡散したと批判。賠償金27億ドルの支払いを求めた。

Foxニュースは、打ち切りは以前から計画にあったと説明している。同社の広報担当者はワシントンポスト紙に「10月に発表したとおり、Foxニュースメディアは、定期的に番組を変更している。Foxビジネスを含め、選挙後にふさわしい新たなフォーマットを開始する計画があった」と答えた。新番組は、近い将来に発表する予定だという。

CNNのブライアン・ステルター氏は、ドブス氏ほどの高視聴率の番組を打ち切るのは、2017年にセクハラ疑惑で降板を余儀なくされたビル・オライリー氏以来と述べた。ドブス氏に同様の疑惑はなかったが、選挙不正報道の前からトラブルメーカーで、過度な内容が広告主を遠ざけていたと指摘。情報筋の話では、番組は儲かっていなかったという。

ドブス氏(75)は、地方テレビでキャリアをスタートし、1980年に創設時のCNNに加わった。「Moneyline with Lou Dobbs」で名声を獲得した。1999年にCNNを一時離れ、宇宙関連ニュースサイト「Space.com」を立ち上げた。その後、CNNに復帰したが、移民政策やオバマ前大統領の「バーサー」陰謀論の扱いなどを巡って批判が高まり、2009年に番組を降板。2010年にFoxビジネスに加わった。「Lou Dobbs Tonight」はトランプ氏のマストウォッチで、2人は定期的に連絡を取り合っていたという。強力にトランプ政権を支持する一方、2019年の経済諮問委員会の年次会合で、トランプ氏はドブス氏に電話で話しをさせるなど、トランプ政権の政策に影響を及ぼした。

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番組打ち切りについて、トランプ氏は声明で「ルー・ドブス氏は今もこれまでもすばらしかった」と述べ、「ルー以上にアメリカを愛する人物はいない。彼には、次の動きを見守る大勢の忠実なフォロワーがいる。これには私も含まれる」と語っている。

ニューヨークタイムズによると、計画について知る人物は、ドブス氏とFoxの契約は継続しているが、番組に再び起用する計画はないと話している。

番組は、来週から暫定的に「Fox Business Tonight」と名称を変更し、ジャッキー・デアンジェリス氏とデービッド・アズマン氏が交代でホストを務める予定だという。

突然の変更は代役にも伝えられておらず、5日に急遽ホストを務めたアズマン氏は、番組の最後、笑顔で「ルーは月曜日に戻ってきます」と視聴者に伝えていた。

ドブス氏のほか、スマートマティックから訴えられたマリア・バルティローモ氏とジェニー・ピロ氏については、現在のところ変更は発表されていない。