FBI ジュリアーニ氏に警告、ロシアのデマ拡散の標的に

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連邦捜査局(FBI)は2019年、ルディ・ジュリアーニ氏に対して、虚偽を拡散してバイデン氏にダメージを与えることを目的としたロシアの活動の標的になっていると警告していた。ワシントンポスト紙が事情を知る人物の話として伝えた。

FBIは、ジュリアーニ氏のほかにも、連邦議会議員と少なくとも1社のメディア「ワン・アメリカ・ニュース」に警告を発し、ロシアの選挙結果に影響を与えようとする試みに利用される危険があると伝えていたという。

ジュリアーニ氏は当時、トランプ前大統領の再選活動に深く関わり、ウクライナの当局者らと接触をはかり、バイデン氏に不利となる情報の収集などに務めていた。

ジュリアーニ氏は28日、ウクライナの取引に関する捜査の一環でFBIによる家宅捜査を受けた。警告は、犯罪捜査の組織とは異なるカウンターインテリジェンスのエージェントによってなされたという。

警告にもかかわらず、ジュリアーニ氏は2019年12月にウクライナの首都キエフに渡航し、ウクライナ議会のアンドレイ・デルカッチ(Andriy Derkach)議員と会合を持った。

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親ロシア派のデルカッチ氏について、財務省は昨年9月、米国や国際的な政治家に対する根拠のない疑惑や編集が施されたオーディオテープを流したと非難。10年間以上、ロシアのエージェントとして活動をしているとして、制裁を課すことを決定した。

キエフには、ワン・アメリカ・ニュースも同行した。同社は、旅行を元にしたドキュメンタリーシリーズを制作している。

同年暮れ(キエフ旅行の前)、情報機関は、ジュリアーニ氏に対する警告を、ホワイトハウスに伝えていた。通信傍受などから得られた証拠には、ジュリアーニ氏がロシアの情報機関に関係する人物らと交流していることが示されており、政府当局者は警戒を強めたという。ロバート・オブライエン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、トランプ氏に、ジュリアーニ氏がウクライナから持ち帰った情報はロシアの手垢がついたものとみなすべきと伝えたという。

ジュリアーニ氏は2020年2月、ニューヨークでデルカッチ氏と再度出会い、自身のポッドキャストに出演させていた。デルカッチ氏はこの中で、バイデン氏の副大統領時代、数十億ドルのウクライナへの支援金が悪用または消滅したと誤った主張をしていた。

FBIはまた、昨年夏に、ロン・ジョンソン上院議員(共和党 ウィスコンシン)に「防衛的ブリーフィング」を提供したという。「防衛的ブリーフィング」は対象者に、有害な目的を持った外国政府の標的になっていることを警告するとともに、「いかに反応するのか」を見る目的で行われ場合があるという。

ジョンソン議員は昨年、上院国土安全保障・政府問題委員長の立場を利用して、バイデン氏および息子ハンター氏のウクライナにおける取引をめぐる調査を進めた。

ジョンソン議員はワシントンポスト紙に対する声明で、ブリーフィングがあったことを認めつつ、FBIは一般的な警告以上の証拠を示さなかったと述べ、ロシアの偽情報の危険を十分に知る自分にとって「ブリーフィングは完全に役立たずで、不要だと感じた」と話した。

バイデン氏の勝利後、国家情報会議は、ロシアのプーチン大統領と政府高官らが、大統領選に影響を及ぼそうとしたと結論づけた。3月に発行されたレポートによると、トランプ前大統領に近い著名な人物などを通じて、誤解を与える情報を拡散することで、選挙に影響を与えたとしている。

レポートでは個人の名前を特定していないが、現在または元政府当局者によると、ジュリアーニ氏がこのうちの1人だっという。

偽情報から距離を置くため、ロシアのスパイサービスは、デルカッチ氏などウクライナの個人に頼り、デルカッチ氏やその他の人物が、米国の著名な人物とメディアを利用して、情報拡散を試みたとしている。