「バイアグラを常用」「性交を強要」ジュリアーニ氏を元従業員が提訴

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2020年大統領選でトランプ陣営の弁護団を率いて世間を騒がせたルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長(78)に対し、性的関係を強要されていたと主張する元従業員の女性が、ニューヨーク州地方裁判所に損害賠償を求める訴えを起こした。

訴訟を提起したのは、ノエル・ダンフィーさん。雇用関係にあった2019年1月から2年間にわたり、敵対的で差別的な職場環境で絶え間ない性的攻撃にさらされ、約束の給与の支払いを求めると脅迫されたと主張。裁判所に最低1,000万ドルの支払いを認めるよう求めた。

ダンフィーさん側の説明によると、2019年当時、トランプ氏の個人弁護士を務め、影響力が絶頂にあったジュリアーニ氏から、ビジネス開発ディレクターとして年俸100万ドルのオファーを受けた。

しかし、双方が合意に至った後、ジュリアーニ氏は「奇妙な」条件を要求した。条件は、自分の離婚手続きが終わるまでの間、雇用関係を内密にしておくこと、給与の支払いを保留にして欲しいというもので、その代わりに、ダンフィーさんの代理人を無償で務めると申し出た。ダンフィーさんは過去に受けた家庭内暴力に関連し、法的問題に直面していた。

ジュリアーニ氏はこの時、離婚は「今にでも決着がつく」と述べ、その間、できる限り現金で支払うと約束した。

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条件に渋々同意し、同年1月21日からジュリアーニ氏の元で働き始めたが、その直後から虐待が始まった。

訴状では「彼(ジュリアーニ氏)は、事実上いついかなる時にもやってくる自分の性的要求を満たすことが、彼女の雇用と法的代理人の絶対条件であることを明確にした」と主張。「ジュリアーニ氏は、ダンフィーさんが言いなりになるよう、自宅やホテルの部屋で仕事をするよう要求した。朝晩関係なく酒を飲み、頻繁に酩酊していたため、行動は常に予測不可能だった」とした。さらに「バイアグラを常用」していたジュリアーニ氏は仕事中、「自分の勃起したペニスを指して、君がこれの処理をするまで仕事ができない」と話すなどし、ダンフィーさんは「いつセックスを要求されるかわからない脅威」に置かれていたと指摘。さらに、肉体的関係を免れたコロナ期間中でさえ、ビデオ会議中に服を脱ぐよう要求されたと非難した。

ジュリアーニ氏の飲酒癖は以前から知られているが、本人はアル中疑惑を否定しており、テレビのインタビューで「人口の90%よりも、私はよく機能している」と謎の自信を示したこともあった。

ダンフィーさんはジュリアーニ氏と2016年にトランプタワーのロビーで初めて会い、その後接触がなかったが2019年にジュリアーニ氏の方からオファーがあった。

1月21日の初仕事で、ミーティングを終えたダンフィーさんに、ジュリアーニ氏は車の中でキスをし、家に入れないか尋ねた。この要求は断ったが、去り際に「その週は別々の場所で仕事をすることになるから、なまなましい写真を送ってくれたら嬉しい」と言って帰っていった。

性的行為を要求したのはこの数日後、ダンフィーさんをニューヨークに呼び、仕事を兼ねた夕食をとった後、自宅のゲストルームに泊まるよう要求。家に入ると酒が用意されていた。ダンフィーさんがゲストルームのシャワーを浴びて出てくると、ジュリアーニ氏がおり、ベッドに座ってズボンをおろし、オーラルセックスを強要された。

ちなみに訴状には、イメージとして、モキュメンタリー映画『ボラット』の続編で、ジュリアーニ氏が若い女性を前に、ベッドに寝そべりベルトを外すシーンの画像が添えられている。ジュリアーニ氏はこの映画で、翌年のラジー賞とゴールデン・ラズベリー賞で二冠を達成するという不名誉な偉業を成し遂げている。

訴状より

ジュリアーニ氏はそれ以来、ダンフィーさんにオフィスではなく自分のアパートで仕事をすることを求めるようになり、ある時は、裸やビキニ、アメリカ国旗のショーツ姿で仕事をするよう要求。ビデオ会議の場合は、服を脱ぐよう求めた。こうしたショーツは自らダンフィーさんのために購入していた。

2月になると束縛するようになり、承認なしに他人と会うことや電話を禁止する一方で、自分から電話をかける回数が増加。1日に50回を超える日もあった。

この月の25日には、「これ以上セックスをせずにいられない」と要求するジュリアーニ氏に、それまで断ってきた性交を強要された。

3月になると虐待的な態度を示すようになり、DVのサバイバーであるダンフィーさんに同意のない性交を迫り、行為の最中に暴力的な言葉を使ったり、SMに関心を示すこともあった。

ちなみにこの頃、トランプ氏に、フロリダの邸宅マール・ア・ラーゴで、ダンフィーさんを初めて紹介したが、引き抜きを心配したジュリアーニ氏は、会合を早々に引き揚げた。

2020年のパンデミック期間中は、リモートのビデオ会議が主体となったが、ほぼ毎回のようにカメラの前で服を脱ぐよう支持した。

雇用関係が終わったのは2021年の1月。1月6日の議事堂襲撃事件の翌日、ジュリアーニ氏に恐怖を感じていると告げると、この報復として非公式に解雇を告げられた。

この間、約束の1億ドルについて何度も尋ねたが、ついに支払われることはなかった。

恩赦を200万ドルで販売

ダンフィーさんは訴状で、トランプ氏の弁護士だったジュリアーニ氏から、恩赦を必要としている人がいないか尋ねられたこともあったと説明。恩赦の価格は200万ドルで、トランプ氏と折半すると告げられたという。

また2019年7月の段階で、ジュリアーニ氏は、トランプ氏が翌年の選挙で敗北した場合の計画について話し、その中で、トランプチームは、投票不正が行われ、実際はトランプ氏が勝利したと主張するつもりだと告げたとしている。