「撃たれたかと思った」ジュリアーニ氏 食料品店で襲われる?

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2020年大統領選で投票不正説を広めて回ったルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長。発言の真偽に、再び注目が集まっている。

ニューヨークポスト紙は26日、ニューヨーク州知事選に共和党から出馬している息子アンドリュー氏とともに遊説先のスタテン島を訪れたジュリアーニ氏が、立ち寄ったスーパーマーケットで従業員から暴行を受けたと報じた。

情報筋が同紙に話したところでは、警察が午後3時30分頃に通報を受けて現場に駆け付け、店内で39歳の男を逮捕。その後、65歳以上の人物に対する第2級暴行罪で起訴した。

ジュリアーニ氏は事件発生時の状況について、男性トイレから出て、支持者らから歓迎を受けている際、「突然背中に”ドン!”と感じた」と説明。「周囲の人が支えてくれたのか分からないが、倒れかけたけれど倒れなかった。背中に非常に強い痛みを感じて、何が起きているんだ、と思った。何が何だか分からなかった」と振り返った。

男は「お前は卑劣なやつだ」と罵しり、さらに「お前は女性たちを殺す奴らの一人だ。お前が女性を殺すんだ」と叫んだという。ジュリアーニ氏は、男はその後も「あらゆる暴言」を撒き散らし、「お前たちは赤ちゃんを救っていると思うのだろうが、女性を殺している」となどとわめいたと語った。

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事件の2日前には米連邦最高裁が妊娠中絶を憲法上の権利とした1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆したばかり。ジュリアーニ氏は、在任中に保守派の最高裁判事3人を送り込んだトランプ前大統領と親しく、大統領選ではトランプ氏個人の弁護士も務めた。

ジュリアーニ氏は同日、昨年の市長選の共和党候補で非営利団体「ガーディアンエンジェルス」のCEO、カーティス・スリワ氏が司会を務める77WABCラジオのトークショーにも電話出演。襲われた瞬間のことを「撃たれた」ように感じたとし、「私が健康な78歳で幸運だった。そうでなければおそらく地面に倒れて頭蓋骨を骨折しただろう」と語った。

しかしその後、”暴行”の瞬間を捉えた監視カメラの映像が公開されると、「誇張しすぎ」説が浮上。ネットではジュリアーニ氏の発言を疑うコメントやミームが多数投稿されている。

一方、ジュリアーニ氏は翌日Facebookに投稿した動画でも、「岩で殴られた」ようだったと主張。「一歩か二歩ほど前につまづき、倒れはしなかったが、ひどく負傷した」と話した。別の動画では、ビデオはやや「欺瞞的」だと映像を非難し、「ビデオ全体を見た警察は、彼を第二級暴行罪で起訴した」「倒れるところだった、老人は転んで死ぬことも多いんだ」と被害を強調した。

これに対して、弁護人をつとめることになった非営利団体リーガル・エイド・ソサイエティは声明を発表し、「ジュリアーニ氏は身体的な怪我のようなものを受けていない」とし、「ビデオがはっきりと示しているように、悪意なく、単純に注意を引くため、軽く叩いただけ」と反論。「ジュリアーニ氏がマスコミに取り上げられることに執着しており、真実をねじ曲げる傾向がある」とした上で、「喜んで週末に起こったことの記録を正したい」と戦う姿勢を示した。

なお検察は27日に男の罪状を軽罪に変更したと伝えられている。