民主党の牙城ニューヨーク州では知事選を巡って、共和党の候補者リー・ゼルディン下院議員が選挙直前に支持率を伸ばし、接戦の様相を呈している。「ディープブルー」ステートで、20年ぶりに共和党知事が誕生するのを阻止するため、バイデン大統領やハリス副大統領らが、現職キャシー・ホークル知事の応援演説にかけつけた。

最近発表された世論調査では、両者の差は、五分五分から11ポイント差となっている。

・ヒル/エマーソン:ホークル(54ポイント)、ゼルディン(45ポイント)
・トラファルガー:五分五分
・クイニピアック大学:ホークル(50)、ゼルディン(46)
・シエナ大学:ホークル(52)、ゼルディン(41)

ゼルディン陣営は、数週間で2,000万ドルの選挙資金を調達しており、連日のようにキャンペーンCMを放送している。AdImpactによると、ゼルディン陣営が先月18日以降に費やした広告は930万ドル、ホークル氏は900万ドルで、ほぼ互角となっている。

3日、マンハッタンにあるバーナード大学で行われた集会で、ハリス氏とヒラリー・クリントン元国務長官が演説を行った。ビル・クリントン元大統領は5日、ブルックリンの集会に登壇。バイデン氏は6日、郊外のヨンカーズを訪れる。ちなみにバイデン氏がニューヨーク州を訪問するのは、ここ1カ月間で3回目となる。

ニューヨークポスト紙は、現在の状況について「民主党は、ガラスを割って火災報知器を鳴らしている」「恐ろしい兆候」と警戒感を示す関係者の声を伝えた。

政治コンサルタントのハンク・シェインコフ氏は同紙に、バイデン氏らの訪問について「民主党がニューヨークで敗北することは、国家的かつ圧倒的な恥。どれだけ選挙費用がかかろうと、回避しなければならない」と説明。「黒人票が集まらなければ、ホークル氏は敗北するだろう」と述べ、黒人有権者の間で人気が高いバイデン氏や、ビル・クリントン氏が駆けつけた理由に言及した。

リーゼルディン

ゼルディン氏は、地下鉄などの公共の安全対策を中心に据えた選挙活動を展開。さらに、現行の保釈制度を改正するほか、就任初日に、進歩派で知られるマンハッタン地区のアルビン・ブラッグ検事を解任すると公言している。現状の教育制度を維持すると約束していることから、超正統派ユダヤ教やアジア人コミュニティからの支持を得ている。

ニューヨークタイムズはゼルディン氏を、近年の中で「最も保守的な知事候補」としており、支持率上昇の背景に、民主党が「判断を誤った」うえ、ゼルディン氏が「財政の健全性を損なう、痛ましいインフレや、犯罪増加の恐怖」への対策を迅速に打ち出したためと説明している。

ゼルディン氏はトランプ氏の支持者で、2020年の大統領選の結果を認定する両院合同会議で、反対票を投じる議員に加わった。州知事選では、トランプ氏からもエンドースを受けている。

なお民主党の選挙コンサルタント、ジョン・ポール・ルポ氏はポリティコに、全米でヒスパニックや白人の有権者の一部が、右派に傾いていると説明し、今回の苦戦は、ホークル氏が「コントロール可能な問題ではない」と語っている。

ゼルディン氏が当選した場合、ニューヨーク州で共和党の知事が誕生するのは、2002年にマリオ・クオモ氏を破ったジョージ・E・パタキ氏以来初めてとなる。