トランプ氏 Truth Social上場の行方は?来週に重大局面

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ビッグテックに対抗するとしてトランプ前大統領が立ち上げたSNS「Truth Social」。特別買収目的会社との合併を通じてIPOを目指すとしていたが、その努力も水泡に帰すかもしれない。

ワシントンポスト紙によると、特別買収目的会社デジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)とTruth Socialを運営するトランプメディア・アンド・テクノロジーグループ(TMTG)の合併取引が、9月8日に期限を迎える。

DWACは5日に開催する株主会合で一年間の期限延長を求める予定だが、否決された場合、精算してこれまでに調達した3億ドルを株主に返還することが義務付けられるという。

両者が合併合意に至ったことを発表したのは2021年の10月。当初12ヶ月から18ヶ月以内に完了するとしていた。

しかしその後、連邦証券法に違反した疑惑が浮上。証券取引委員会(SEC)による承認が得られず計画が暗礁に乗り上げた。SECは今年6月、DWACの元取締役を、インサイダー取引容疑で告発した。7月には、DWACが自社のIPOに関連して提出した書類で、重大な虚偽表示を行い、連邦証券法の不正防止規定違反が認められたと発表。合併完了後に1,800万ドルの違約金を支払うことで、和解に至ったと明らかにした。

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特別買収目的会社は、非公開企業を買収することのみを目的とした上場企業で、買収先を特定する前に投資家から資金を集めることから「白紙小切手」企業とも呼ばれる。SECの捜査では、2021年9月8日に新規株式公開を完了した同社は、目論見書で「潜在的な対象企業といかなる話し合いもしていない」と記載したにもかかわらず、少なくとも2月の段階でトランプ氏と合併を話し合っていたことが判明した。

デジタルワールドが期限延長を勝ち取るには65%の賛成が必要で、不成立となれば「清算目的を除くすべての業務を停止」し、1株当たり約10.24ドルの価格で投資家に返済するとしている。

専門家によると、特別買収目的会社の株式を購入するのは通常は専門投資家や機関投資家が多く、こうした期限延長はほぼ常に承認されるという。ただし、DWACの株主基盤はトランプ支持者の個人投資家が多く、今回の精算期限に注意を払っていない可能性がある。無投票は「反対」とカウントされるという。

NBCニュースによると、トランプ氏はTMTGの90%を保有しているが、今年4月に連邦選挙委員会に提出した個人の財務状況の開示書類で、同社から得た利益は201ドル以下だと申告したという。

ユーザー規模では、ビッグテックにはるかに及ばない。Truth Socialのアクティブユーザー数は200万人ほどと推定されており、Facebookの29億人、YouTubeの25億人、WhatsAppの20億人、Instagramの20億人、X (旧 Twitter)の5.4億人と比較にならない。

トランプ氏自身、やや飽きがきているのかもしれない。イーロン・マスク氏によってXのアカウントの凍結が解除された後もTruth Socialのみを使用していたが、先月24日、ジョージア州の拘置所で撮影されたマグショットとともに復活を果たし注目を浴びた。