トランプ氏のランニングメイト有力の可能性、共和党若手のスター、ステファニク議員とは?

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トランプ氏がアイオワ州党員集会を圧勝し、共和党の候補者選びが早期に決着するとの観測があるなか、ランニングメイトの行方をめぐって様々な憶測が飛び交っている。

先日Axiosは、前回の中間選挙でトランプ氏の支持を受けて上院選に勝利したJ.D.バンス上院議員(オハイオ)、トランプ政権の元報道官で現アーカンソー州知事のサラ・ハッカビー・サンダース氏、昨年のアリゾナ州知事選で敗北したがMAGAの新たな顔として注目を浴びたケリ・レイク氏、サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事が検討の俎上に上がっていると報じた。

この一方、NBCニュースは18日、トランプ氏と側近らは、議会公聴会で大学内の反ユダヤ主義運動をめぐってアイビー・リーグの学長らを問い詰め、ハーバード大とペンシルベニア大の学長を辞任に追い込んだ下院共和党のナンバー4、エリス・ステファニク議員(ニューヨーク、39歳)に注目していると報じた。

関係者によると、トランプ氏と周囲の人々は夕食の席で、公聴会でのステファニク議員の活躍を褒めちぎり、同氏を副大統領候補に選ぶ案について、トランプ氏もうなずき、「彼女はとびきりだ」と賛同を示した。それ以来、ステファニク氏の動向を注視しているという。

ステファニク議員がニューヨーク州北部の21区で初当選を果たしたのは2014年。当時29歳で、女性として最年少の議員誕生に注目が集まった。議員になる前は、ジョージ・W・ブッシュ政権時代にホワイトハウスのスタッフを務め、2012年大統領選でミット・ロムニー陣営の選挙補佐官として、ランニングメイトのポール・ライアン元下院議員のバイデン氏との討論会の準備を手がけるなどした。

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当初は穏健派とされながらも、2016年大統領選ではトランプ氏を支持した。ただし、イスラム圏からの入国禁止、環境保護庁の予算削減といった公約には反対を表明。さらに、選挙直前に明るみに出たアクセス・ハリウッド・テープのスキャンダル(2005年にテレビ司会のビリー・ブッシュ氏と女性に関して卑猥な会話をしていた問題)をめぐっては、「トランプ氏の不適切で攻撃的なコメントは文脈に関係なく過ちだ」と批判し、謝罪をするべきと述べていた。

そんなステファニク氏が、トランプ派の強力な声として全国に知られるようになったのは、2019年のトランプ氏の第一回目の弾劾。民主党主導の情報委員会による弾劾調査の公聴会で、証人に矢継ぎ早に質問を浴びせ、当時委員長だったアダム・シフ議員(民主党 カリフォルニア)と公聴会の手続きをめぐって応酬を繰り広げた。この活躍に注目したトランプ氏はツイッターで「新たな共和党のスターが生まれた」と賛辞を送ったこともあった。その後の弾劾訴追では、ホワイトハウスのディフェンスチームの一員として指名を受けた。

議会議事堂襲撃事件が起きた2021年1月6日の両院合同会議では、「前例のない投票不正」があったと主張。選挙結果に異議を唱えた147人の共和党議員に加わった

それに続くトランプ氏の2度目の弾劾では、弾劾調査決議は「根拠のない(民主党の)党派の策略」だとして、「断固反対」を表明した。昨年6月には、MAGA派の議員、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア)とともに、トランプ氏に対する弾劾を取り消す決議案を議会に提出している。

2021年5月、トランプ氏の弾劾訴追に賛成票を投じた後に共和党指導部の座を下ろされたリズ・チェイニー氏に変わって、共和党会議議長に選出された。

トランプ氏が直面する法廷闘争にも、援護射撃を欠かさない。

トランプ氏の詐欺行為をめぐる訴訟を担当するニューヨーク州のアーサー・エンゴロン判事について、昨年11月に州司法行為委員会に宛てた書簡で、判事は被告に対する明らかな偏見があり、ニューヨークの司法行為の複数の規則に違反したと非難。トランプ氏の詐欺認定をした略式判決に疑問を呈したほか、かんこう令は違法だとし、委員会に調査を求めた。

ランニングメイトの発表は夏の党大会直前に行われるのが通例で、発表までの道のりは長そうだが、ステファニク議員の副大統領候補案は、トランプ氏の支持基盤にも受け入れられそうだ。トランプ政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏は「ステファニクがトップだ」と太鼓判を押し、「もし君がトランプなら、何よりも忠実な人物を求めるだろう」と述べたという。