機密文書持ち出し問題 トランプ氏の弁護チームとは、今後の展開は?

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ホワイトハウスから持ち出した政府の機密文書の取り扱いをめぐって37の罪で起訴されたトランプ前大統領。13日にマイアミの連邦裁判所で行われた罪状認否で、無罪を主張した。

法廷には弁護士のトッド・ブランシュ氏とクリストファー・キース氏が同行した。

トランプ氏は9日、自身のSNSのアカウントで、トッド・ブランシュ氏が代理人を務めるとする一方で、事件に関わってきたジム・トラスティ氏とジョン・ロウリー氏が離脱したことを明らかにした。

マンハッタンのポルノ女優への口止め料に関連する事件でも、トランプ氏の代理人を務めているブランシュ氏は、1996年にアメリカン大学を卒業し、ブルックリン・ロースクールで法務博士の学位を取得した。2014年までの約10年間、ニューヨーク南部地区連邦検察で検事補を務めた。その後、エリート法律事務所、キャドウォルダーのパートナーなどを経て、今年4月に自身の法律事務所を創設した。ホワイトカラー事件に関する経験が豊富で、2016年大統領選でトランプ陣営の選対本部長をつとめたポール・マナフォート氏の事件では、ニューヨークで弁護団を率い、2019年に公訴棄却を勝ち取った。

ルディ・ジュリアーニ氏の仕事仲間で、選挙資金法に違反したとして逮捕、レフ・パルナス氏とともに起訴されたソビエト生まれの米国籍の男性イゴール・フルマン氏の代理人も務めている。

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フロリダの有力者に強いコネクションのあるクリス・キース氏は、機密文書の事件に一時的に関わったが、その後、ニューヨーク州司法長官による民事裁判に従事していると見られていた。

チャーリー・クリスト元フロリダ州知事の司法長官時代、主席検事を務めた後、フォーリー&ラードナー法律事務所で、フロリダ州とジョージア州の水の利権をめぐる訴訟に関わった。2011年にフロリダ州知事に当選したリック・スコット氏(現連邦上院議員)、デサンティス知事の政権移行でも、重要な役割を果たした。

予想される展開は?

先月トランプ氏の弁護を離れたティム・パルラトーレ氏はAxiosの取材に、トランプ氏側は裁判を遅らせるために動議と異議を連発する可能性が高いと指摘。「1年以内に裁判が始まるとは考えられない」と語った。

さらに、弁護側は、検察官が証拠を集めた方法を問うことで、裁判を数ヶ月間遅らせられる可能性があると説明。「証拠開示の申し立てを繰り返して、開示をめぐる争いを起こすだろう。一回の動議で3ヶ月はかかると思う」と語った。上訴は必至だとし、「最初から最高裁まで行くことがわかっている事件があるとすれば、それがこの事件だ」と話した。

パルラトーレ氏はまた、13日に出演したMSNBCの番組で、「検察官の不正行為」が裁判を頓挫させる可能性があると指摘した。

「これは、検察官が継続的に倫理の欠如を示し、非公開の手続き中に連邦判事に嘘をつくことを厭わなかった事件だ」と検察を非難。検察官らは進んで「憲法上の権利の行使を有罪の証拠とみなす可能性があることを、陪審員の前で公然と示唆」したほか、「証人の一人の弁護士(自分)に対して、裁判官への応募は考慮されるべきで、依頼人(トランプ氏)に考えを改めるよう説得する理由になると示唆」するなど、不適切なやりとりがあったと説明した。

パルラトーレ氏は昨年12月、大陪審の前で約7時間にわたって証言を行った。

自ら証人となった理由について、以前、大陪審による召喚状に誠実に従い、捜査妨害がなかったと直接説明する良い機会だったためと説明した。一方、検察官から繰り返して、トランプ氏と弁護士としての自分との会話について聞かれたと明かしていた。

13日の番組内で、非公開の大陪審の手続きについて、なぜ不正行為があるとわかるのかと問われると、「私はその部屋にいたからだ。目の前で起きたことだからだ」と反論。検察は45回にわたって「弁護士と依頼者間の秘匿特権」に立ち入ろうとし、大陪審の前で、特権で保護された内容に質問が飛ぶと「その情報を大陪審に提供することを拒否するのか」「特権を放棄することができないのか」などといったやりとりがあったと明かした。

検察官はある時点で「トランプ大統領がそんなに協力的ならば、なぜ特権を放棄してあなたとの会話について陪審員に話すことを許可しないのか」と主張したことがあったとした上で、「これは完全に不適切だ。陪審裁判中に起きたならば、即刻で審理無効になる」と主張した。