アマゾンからイラスト拝借?「トランプNFTトレカ」に疑惑噴出

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トランプ前大統領が「重大発表」だとして一枚99ドルで売り出したNFTトレーディングカードのデザインをめぐって、Eコーマスサイトなどから転用されたものではないかと、指摘する声が上がっている。

Youtubeのニュース番組「The Young Turks」の記者、マシュー・シェフィールド氏は16日、自身のツイッターアカウントで、カウボーイ風のイラストに描かれたコートが、Amazonで100ドル前後で販売されている商品に酷似していると投稿。

そのほかにも、宇宙服バージョンは雑誌ワイアードの記事から盗用して変色させたようだとしたほか、ストックフォトサイト「シャッターストック」にある写真や紳士服チェーン「メンズウェアハウス」、アウトドアギアを販売する「DNW Outdoor」といったリテールサイトの商品画像が使用されている可能性があるとした。

トランプ氏は発売開始にあたり、Truth Socialに投稿した動画で「私の人生とキャリアに関係する本当に素晴らしいアートワーク」が描かれていると説明。「とてもエキサイティングだ」と述べ、支持者らに購入を呼びかけた。オフィシャルサイトの説明では、デザインを手がけたのは、デジタルイラストレーターとして40年のキャリアを持ち、受賞歴もあるクラーク・ミッチェル氏だとしている。

トランプ氏は発売前日、内容を明かさずに「重大発表」を行うと予告していたが、単なるトレカの告知だったことに、反トランプ派から失笑を買ったほか、支持者からも失望の声が漏れた。

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議事堂襲撃事件に加わり、有罪となった”ベイクド・アラスカ”ことアンティメ・ジョセフ・ジオネット氏は、「NFTセールスマンのために刑務所に行くなんて信じられない」とツイートするなど、トランプ氏のために犯罪まで犯した自分に後悔を滲ませ、話題になった。

それでも売れ行きは絶好調で、NFTのマーケットプレース「OpenSea」を通じて4万5,000枚が、1日足らずで完売し、450万ドル(6.1億円)近くを売り上げた。

購入者はカードの所有者となるが、転売した際には製作者に「クリエイター・フィー」として、売り上げの10%が還元される。

トランプ氏自身にどのような流れで、どれほどの収入がもたらされるか不明。発売元は「NFT INT LLC」という企業で、同社はトランプ氏やトランプ氏の関連企業が管理、所有するものではないとしており、トランプ氏の肖像や画像について、「CIC Digital」という企業からの有料ライセンス契約に基づいていると説明している。

ニューズウィークの記者カート・アイケンウォルド氏の調べによると、CICはわずか9ヶ月前にデラウエアで登録された企業だとわかった。ただし詳細は不明で、アイケンウォルド氏は、同州では役員や取締役を一般や州に開示する義務がなく、完全な匿名性を保つことが可能だと指摘している。大統領立候補時に開示された情報では、トランプ氏は自身の企業のほぼすべてをデラウエアで設立しており、自分を唯一の役員、取締役、株主として登録しているという。

NFT INT LLCにも疑問が浮上している。トレーディングカードのオフィシャルウェブサイトに記された同社の所在地は、ユタ州北部にある都市、パークシティにある運送会社UPSの窓口に設けられた私書箱になっているほか、ニューヨークタイムズの記者ケン・ベンジンガー氏は、同社のデラウエア州に登録された所在地は、ワイオミング州にあり、数千の怪しい企業が長年にわたって住所を使用する「悪名高いプロパティー」だと指摘している。