生還の可能性は?残された時間は「40時間」タイタニック号見学ツアーの潜水艇

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1912年に沈没した豪華客船「タイタニック号」の見学ツアーに出かけた潜水艇が、消息を絶ったことがわかった。現在、「史上最も深い」救助活動が続けられている。

米沿岸警備隊によると、民間企業オーシャンゲート・エクペディションズ(OceanGate Expeditions)が運行する潜水艇「タイタン」は18日朝、カナダのニューファンドランド島から約370マイル離れた場所で消息を絶った。潜水開始から1時間45分後に、連絡が途絶えたという。

救助隊を率いるジョン・メイジャー少将は会見で、捜索では「場所の特定」に全力を注いでいると回答。20日午後の時点で、タイタンに残された酸素は「40時間」と明かした。

さらに、潜水艇がタイタニック号の中に取り残されている可能性を示唆。沿岸警備隊には、タイタニック号が沈む12,500フィート(約3,800メートル)まで潜水できる船を保有していないが、発見時に向け、24時間体制で準備に取り組んでいると語った。

潜水艇は、太平洋を漂流している可能性もあるという。ジェイミー・フレデリック大佐は、「表面に浮かんでいれば、確実に発見できる」と語った。

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乗客は?

潜水艇には5人が乗っていた。乗客は、英国の億万長者ハミッシュ・ハーディング氏と、パキスタンの実業家シャザダ・ダウッド氏と19歳の息子スレマン氏の3人。乗務員として、フランス人の深海探検家ポールアンリ・ナルジョレ氏、オーシャンゲート・エクスペディションズのストックトン・ラッシュCEOが乗っていたと報じられている。ツアー料金は、1人当たり25万ドル(3,500万円)だという。

なおハーディング氏は昨年6月、ジェフ・ベゾス氏が手がける宇宙船「ブルー・オリジン」の乗組員として、宇宙旅行に出掛けていた。

破裂の可能性

オーシャンゲート社のG・マイケル・ハリス氏はFoxニュースに出演し、通常、タイタニック号まで2時間半で到達すると説明。「最悪の状況」として「3,200メートル付近で、破裂した可能性もある」と懸念を示した。

なお元従業員からは、タイタンの「品質管理と安全性」について懸念を示す声が上がっていた。ニューヨークポスト紙によると、オーシャンゲートの海洋作業部門のディレクター、ディビッド・ロックリッジ氏は2018年、船体の非破壊試験が不十分だとして、創設者のストックトン・ラッシュCEOに提言したところ、解雇されたという。

オーシャンゲート社はその後、情報漏洩などの容疑でロックリッジ氏を提訴。同氏が反訴した裁判では、試験だけでなく、実験的な設計や、可燃性の物体を搭載しており、客はそれを知らされていないと主張していた。

ロックリッジ氏が解雇された後、MTS(海上輸送システム)も、建設方法の安全性に対する警告文を同社宛に寄せていた。

▼「タイタン」のプロモーションビデオ

https://youtu.be/OH_9Q3Z_xok