ロシアの国営テレビ局RTのマルガリータ・シモニャン編集長は23日、司会者のアントン・クラソフスキー氏が番組内で行った発言は「野蛮で極めて不快」とし、契約を停止したことを明らかにした。
クラソフスキー氏は、SF作家セルゲイ・ルキヤネンコ氏をゲストに招いた自身の番組で、ウクライナの子供たちを川でおぼれ死にさせるべきなどと暴言を吐いた。
ルキヤネンコ氏が、少年時代にウクライナ西部の都市ウジホロドを訪れた際、現地の子供達が、モスクワ人に占領されていなければ、暮らしぶりはもっと良かったと話していたと振り返ると、クラソフスキー氏は「そういった子供たちは、マジでおぼれ死にさせる必要がある。モスクワ人に占領などと言った子供は、激流に放り込まなければならない」と発言。ルキヤネンコ氏が異論を挟むと、「山小屋にたたき込んで、燃やせばよい」などと続けた。
シモニャン氏は声明で、本人から釈明があるだろうとしつつ、発言は信じがたいと非難。「これほどの馬鹿げた話しを共有できると考えることさえ許容できない」と述べ、「ウクライナの子供、ドンバスの子供、すべての子供たちにとって、このすべてができる限り早く終結し、自分たちが母国語と考える言語で平和に暮らし、勉強ができるようになることを願っている」と語った。
クラソフスキー氏は以前、国営テレビKontrol TVで編集長を務めていたが、ロシアで同性愛宣伝禁止法が成立した2013年、ゲイを公表した後、解雇された。
当時の米紙とのインタビューでは、過去プーチン大統領を支持してきたが、2012年の大統領選では投票しなかったと明かし、今後も支持することはないと表明していた。「なぜ社会全体を極化しようとしているのか」と、分断的な政策を進めていると批判し、「ある日、プーチン氏とクレムリンの取り巻きは、いつのまにか自分たちが脆弱なマイノリティとなっていて、彼らが育てた下層階級が、制御不能となって向かってくることを悟ることになる」と話していた。
RTによると、近年HIVの陽性が判明した。同局の番組は2021年から担当していた。同局はまた、ロシア連邦捜査委員会のアレクサンダー・バストリキン長官が24日、発言をめぐってクラソフスキー氏に対する調査を命じたと伝えている。
番組を知ったウクライナのクレバ外相は、ツイッターでクリップをシェアし、ジェノサイドの扇動だと非難。RTの番組放送を許可している外国政府に禁止するよう訴えた。
Governments which still have not banned RT must watch this excerpt. This is what you side with if you allow RT to operate in your countries. Aggressive genocide incitement (we will put this person on trial for it), which has nothing to do with freedom of speech. Ban RT worldwide! https://t.co/xJC371rqyg
— Dmytro Kuleba (@DmytroKuleba) October 23, 2022