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Qアノン 悪魔のレトリックに潜む危険

ラドフォード大学で宗教学を教えるポール・トーマス教授は、The Conversationに投稿した論文で、Qアノンと過去に社会的なパニックに発展した悪魔的儀式虐待のレトリックには類似点があると指摘。レトリックを看過ごすと、一般の人々への危害に発展する怖れがあると述べた。

Qアノンは、2017年に「Q」を名乗る匿名の人物による掲示板の投稿から始まった陰謀論。闇の政府(ディープステート)の政治家とハリウッドのセレブリティが、大規模な児童買春ネットワークに関与しており、この中で、悪魔的儀式の対象となり性的虐待を受けた子供から、アドレナリンが酸化することで得られる化学物質、アドレナクロムを得ているとなどと主張している。これら政治家やセレブは、精神作用やアンチエイジングのためにアドレナクロムを消費しており、この物質は犠牲者の恐怖が大きいほど強力だと考えられているなどと唱えている。Qのメッセージは「Qドロップ」と呼ばれる。

また、トランプ氏は、この大規模組織の秘密を暴くために戦っていると考えられている。

敵対者を非人間化するレトリック

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トーマス教授はこれまでの調査で、約5,000件のQドロップに悪魔話が織り込まれていることを特定したという。これらには「政府の人物の多くが悪魔を崇拝している」やトランプ氏が「悪魔儀式のために子供誘拐をする小児性愛者のネットワークの解体に取り組んでいる」などといった言葉が含まれる。

例えば、2018年8月10日の投稿では、「権力者の多くは悪魔を崇拝している」と題して、Qは次のように述べている。

「PURE EVIL. HOW MANY IN WASHINGTON AND THOSE AROUND THE WORLD (IN POWER) WORSHIP THE DEVIL?」(悪の権化。ワシントンと権力ある世界中の人のうち、何人が悪魔を崇拝しているか?)

今年の8月26日には、民主党全国委員会のロゴがバフォメットの逆五芒星に類似していることを示唆する画像が投稿され、共和党と民主党を神と闇に対比する議論が行われた。

トーマス教授は、Qアノンはこのような言葉やイメージを使うことで、敵対者を単に意見の違いがあるだけでなく、完全な善と悪の議論へと引き上げていると説明。さらに、敵を巨大な悪として描き、非人間化する過程で、Qアノンはモンスターキラーとして自己を認識し、暴力が正当化される危険があると指摘する。

なお、敵対者を悪の言語を使用して非人間化するプロセスは新しいものではなく、
1900年代初頭にロシアで出版された『シオン長老の議定書』にも、同様のことを見いだすことができるという。議定書は、反ユダヤ的な陰謀論をつづった文書で、ヒトラーも「非常にためになる」と呼ぶなど、影響を受けたとされている。

このほか、ユダヤ人コミュニティは中世から、キリスト教の子供を殺害し、彼らの血を宗教儀式に用いているといったデマによる被害に直面してきた。

トーマス教授は、Qアノンが子供誘拐や血の儀式などの架空話を、ジョージ・ソロス氏やロスチャイルド家など著名なユダヤ人につなげていることは特筆に値するとしている。

社会混乱の前例

さらにトーマス教授は、Qアノンが、1980年代に悪魔的儀式虐待の噂から引き起こされた社会パニックと同様、無実の市民の評判や生活に多大な損害を与える危険があると指摘する。

80年代のパニックは、悪魔による陰謀が社会のトップレベルにまで浸透しているという噂が、親、セラピストから捜査関係者まで幅広く広がることで引き起こされた。この驚異に対峙するために「Believe the Children」といった機関が設立され、悪魔が運営するデイケアセンターで子供が危険に瀕しているなどの告発などが相次いだ。検察は当時、カリフォルニア州のマクマーティン保育園で幼児虐待が行われ、秘密のトンネルや悪魔的儀式が行われているなどといった主張をまともに受けとめてしまった。

トーマス教授は、Qアノン信者たちは、すでに自らすすんで事態の解決をする意欲を示していると説明。Qアノンも同様に、罪のない人々の生活に混乱を引き起こす可能性があると指摘している。

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