男児に「舌を吸って」と求めた動画が出回り、批判にさらされたチベット仏教の最高指導者でノーベル平和賞授賞者ダライ・ラマ14世(87)。Qアノンなど陰謀論支持者の一部は、この騒動を自らの主張を後押しする好機と捉えているようだ。
動画は今年2月の集会のもので、ダライ・ラマが1人の男児にハグやキスをしたうえ、「自分の舌を吸って」などと告げる様子が収められている。男児が自分の舌を出すとダライ・ラマや周囲の大人が笑い出し、男児が後ずさる一幕もあった。
著名なQアノン信奉者、リズ・クローキンは、ツイッターとテレグラムのフォロワーに向けて、「幼い男の子を性的暴行するダライ・ラマの衝撃的なビデオは、多くの人にとって大量のレッド・ピルになっている」と主張。「私は7年間、世界を動かしているのはエリート小児性愛者たちだと言い続けてきた」と、Qアノンの正しさの証明であるかのようなコメントを投稿した。
トランプ政権時代に広まったQアノンの中心には、世界的な児童の性的人身売買のネットワークを運営する小児性愛者のエリートグループが、世の中を支配しているといったものがある。レッドピルはもともと映画「マトリックス」に登場するもので、信奉者の間では、真実に目覚め現実を知るという意味がある。
クローキンはさらに、宗教や慈善団体、政府内などでは戦略的に、小児性愛者を権力の座に据えているとも加えた。
The shocking video of the Dalai Lama sexually assaulting a young boy has been a massive red pill for many. I’ve been saying for seven years now that the world is run by elite pedophiles. These child sex predators are strategically put into positions of power and often hide behind… pic.twitter.com/qePButMCWp
— LIZ CROKIN (@LizCrokin) April 12, 2023
この投稿に、あるユーザーは「でもねリズ、一般人たちはまだ何も見ていない・・・これは氷山の一角でしかない!!」と返信した。
“真実”を明らかにしてくれたとクローキン氏に感謝するユーザーもおり、「私が目覚めたのは数年前。人々は私をクレイジーだと考えていた」と思いを述べた。
Thank you for speaking the truth. My eyes were opened a few years ago and people thought I was crazy. Many are now awake. Not enough. We have work to do. God’s blessing and God’s strength be with you.
— Swarmy (@TweetingNinja1) April 12, 2023
さらに、「マザー・テレサについての情報を待ちましょう」と、ノーベル平和賞を受賞した故マザー・テレサに言及するユーザー、「我々はレプティリアンの世界にいて、彼らにloosh(ネガティブな力)を与えてしまっている。人々がエイリアンの奴隷であると理解するまでは、我々の主権を取り戻せない」など、お馴染みの陰謀論(爬虫類型の異星人によって世界が支配されているとする説)を持ち出すユーザーも現れた。
なお、批判が殺到したことを受け、ダライラマの事務所は謝罪声明を発表。「法王(ダライ・ラマ)の言葉に傷ついた男児やその家族、世界中の友人たちにお詫びする」とした。一方で「法王は普段から、公の場やカメラの前でも、出会った人々に無邪気な遊び感覚でからかうことがよくある。今回の事態については反省している」と、“純粋な”ジョークのつもりだったことを強調した。
現在ネットには、Qアノンに加えて、ジェフリー・エプスタインや、女性たちを性奴隷とし、指導者に禁錮120年の刑が下ったカルト団体「NXIVM(ネクセウム)」と関連づけるものなど、さまざまな投稿が出回っている。