ウクライナへの「パトリオット」運用訓練 米国内を検討か

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ウクライナのゼレンスキー大統領の訪米に合わせ、バイデン政権は21日、米軍の主力地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与を含む18億5000万ドルの追加軍事支援を行うと発表した。このパトリオットの訓練を米国で行う可能性が浮上している。

パトリオットミサイル(MIM-104)は米軍所有の武器の中でも最新の防空ミサイルシステム。これだけで費用は10億ドルに及ぶ。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、1991年の湾岸戦争で初めて導入された。

そのパトリオットについて、ポリティコは米国防総省の高官2人の話として、米国内の軍基地でウクライナ軍を訓練することを検討中だと報じた。ウクライナ軍はこれまで米軍から供与された最新鋭の武器の訓練を北大西洋条約機構(NATO)加盟国で行ってきたが、米国本土にウクライナ兵らを招いて訓練を行うのは、ロシアのウクライナ侵攻後初めてとなる。供与の一報が流れた際には、ドイツのグラーフェンヴェーアにある米軍基地で実施される可能性が伝えられていた。

パトリオットはミサイルの追跡および撃墜能力において最先端の技術を兼ね備えているが、効果的に運用するには高度な訓練が必要になる。このため、米軍はこれまでパトリオットの供与には消極的だった。

AP通信によると、パトリオット一式には通常、4発のミサイルを装填可能なランチャーが8台含まれる。さらにシステム全体には、位相段列レーダーとコントロールステーション、コンピューター、発電機が含まれ、保守と運用に90人の人員が必要になる。

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訓練に使われるシミュレーターなどの設備はオクラホマ州のフォート・シル基地にあるため、ヨーロッパでは適切な訓練ができないことも課題の一つだったが、米国内での訓練であれば問題は解消される。

訓練に数ヶ月間を要するともされ、ウクライナの戦地への配備がいつになるのか明らかではない。国防総省の関係者は、完全に訓練を終えてからでなければウクライナに配備できないと話しているという。

ゼレンスキー大統領は、21日にバイデン大統領と面会した際、パトリオットの供与に謝意を述べた上で、さらに軍事支援が必要になることを強調した。