トランプ氏の刑事捜査 トランプオーガニゼーションCFOに焦点

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マンハッタン地検のトランプ前大統領と一族の企業に対する刑事捜査で、検察官らは、トランプオーガニゼーションのアレン・ワイセルバーグ(Allen Weisselberg)最高財務責任者に対する関心を高めているという。ニューヨークタイムズが、事情を知る人物の話として伝えた。

1970年代からトランプ氏の父親フレッド氏の元で働くワイセルバーグ氏(73)は、一族と長い関係にある。トランプオーガニゼーションの帳簿を監督しており、トランプ氏が大統領を務める間、トランプ氏の息子たちと企業を運営していた。

タイムズは、ワイセルバーグ氏の不正が判明すれば、検察は同氏に協力をするよう圧力をかけることができると指摘している。協力を引き出すことは、捜査の大きな後押しとなり、同氏の忠誠心を頼りにしていたトランプ氏にとって痛手となる。

ここ数週間で、検察官は、ワイセルバーグ氏を知る人物に聴取しており、少なくとも1人の証人には、ワイセルバーグ氏の息子バリー氏とジャック氏に関する話を聞いたという。

バリー氏はトランプオーガにゼーションが運営するセントラル・パークにあるスケート場、ウォルマン・リンクの資産管理人を務めており、ジャック氏は、トランプ氏への最大の貸し手であるラダー・キャピタルで働いている。

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検察官は、ワイセルバーグ親子に関しては不正を告発していない。また2人の息子を捜査対象としている兆候もない。

検察官は、トランプ氏が融資や税務申告に際し、良い条件を得るために資産価格を不正に操作しなかったか調査していると伝えられている。これら金融犯罪の可能性に加えて、2016年の大統領選挙期間中、トランプ氏と性的関係をもったとされる2人の女性に支払われた口止め料を巡り、ワイセルバーグ氏が果たした役割についても焦点を当てているという。

2018年に始まったマンハッタン地検の捜査は、当初この口止め料に関するものだった。特に、女性への支払いを立て替えたトランプ氏の元弁護士、マイケル・コーエン氏に企業から与えられた13万ドルが、どのように会計処理されたか調査が行われた。

コーエン氏は2018年、口止め料の支払いに関して、選挙資金法に違反した罪を認めた。同年12月には、禁固3年の実刑を言い渡された。

今年2月中旬、トランプ氏の捜査に関連し、コーエン氏がマンハッタン地検から5度目の聴取を受けたと報じられた。

なおコーエン氏は、2019年に行われた議会公聴会で、トランプ氏はしばしば、貸し手や潜在的なビジネスパートナーとの取引では資産価格をかさ上げする一方で、税務上の目的で資産価格を低く申告することがあったと証言している。