大統領の元側近弁護士マイケル・コーエンが有罪認める 「口止め料支払いは大統領の指示」

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マイケル・コーエン
©a katz / Shutterstock.com

21日、マンハッタンの連邦地裁に出廷したトランプ大統領の元弁護士、マイケル・コーエン(Michael Cohen)氏(51)は、脱税や過度の選挙献金、違法な企業献金への関与、虚偽の財務報告など、8つの訴因について罪を認める答弁を行なった。

コーエン氏の有罪答弁の一報は、トランプ陣営元選挙対策本部長のポール・マナフォート氏の有罪評決と時を同じくして流れた。

8つの訴因のうち、2つは、トランプ大統領と直接関係するもので、コーエン氏は、候補者の指示のもと2人の女性に支払いをした、とトランプ氏の名前を明言することなく罪を認めた。また、これらの支払いは、選挙結果に影響を与える意図があったことを認めている。コーエン氏からトランプ氏の名前は明かされなかったが、コーエン氏の代理人のラニー・デイビス氏(Lanny Davis)は声明で、「ドナルドトランプ氏が、選挙に影響をおよぼすことを主たる目的に、2人の女性に支払いを行わせることで、犯罪を指示した」と語った。

New Yorkポストによると、それぞれの罪状について声明を読み上げる中で、コーエン氏は「2016年夏、または夏に差しかかる頃、連邦政府の候補者の指示と協力のもと、私とメディア企業の経営者は、候補者とキャンペーンにとって有害となりうる情報を伏せるため、候補者の要求で協同で仕事を行なった。これにより彼女は15万ドルを受け取った」と述べた。金額と時期から、2006年-2007年にトランプ氏と関係を持った疑いのある元プレイボーイモデルのカレン・マクドゥーガル氏(Karen McDougal)に対する支払いに相当する。

また、「同じ候補者の指示で、情報公開を防ぐために2人目の支払いをアレンジした。私は私の管理下にある会社を使用し、後に候補者から払い戻されることとなる13万ドルの支払いを行なった。私は、選挙に影響を及ぼすことを目的に、この処理に関わった。」と述べた。支払いを受けた女性は、2006年にトランプ氏と関係を持った疑いのあるポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏(本名、ステファニー・クリフォード)とみられる。支払いはトランプ陣営に対する選挙献金の性格を有しており、年間2,700ドルの上限を大幅に上回る。

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このほか、コーエン氏は、脱税に関する5つの訴因と金融機関に虚偽の財務申告をした1つの訴因についても罪を認めた。
NBCニュースによると、William H. Pauley III連邦地裁判事から、自らの行いが違法であるか認識していたかと聞かれ「はい」と回答したという。

コーエン氏の有罪答弁を受け、トランプ大統領の代理人のルディー・ジュリアーニ氏は(Rudy Giuliani)、「大統領に対し、犯罪の疑いを示すものはない」とし、「コーエン氏の言動は、長期間におよぶ嘘と不誠実のパターンを示している」と述べた。

今年4月、ロバートモラー特別検察官から送致を受けたニューヨーク州南部地区の連邦捜査官が、コーエン氏のニューヨークにあるオフィスとホテルの部屋から数千の資料を押収した。資料には、元プレイボーイモデルのカレン マクドゥーガル氏の支払いについて、コーエン氏とトランプ氏が協議する声が録音されたテープが含まれており、テープの一部はマスコミによって公開されていた。

コーエン氏は、長年トランプ氏の代理人を務め、かつてはトランプのために銃を抜くことも辞さないと発言していた。しかし、7月に「トランプ以前に、家族と国家が第一である」と述べるなど、心境の変化がみられていた。

コーエン氏は同日、50万ドルで保釈され、判決期日は12月12日に設定された。

2017年5月より開始されたロバートモラー特別検察官による捜査により、これまで30人以上が起訴され、コーエン氏、マナフォート氏を含む5人が有罪となっている。