ハンター・バイデン氏のメール、5億円で売られていた?

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バイデン前副大統領の息子、ハンター・バイデン氏のものとみられるメールや写真が、昨年、ウクライナで出回っていた。米タイム誌が、話をもちかけられた2名の人物の話として伝えた。

2人は、2019年の5月末と2019年9月中旬にアプローチがあったと述べている。これらの情報が本物かどうか、また情報提供の背景にいる人物についてはわからないとしている。

このうちの1人は、2019年9月中旬にキエフで、提供者からトランプ大統領の共和党の仲間に情報を売りたいと話され、500万ドル(5億2,400万円)を提示されたと明かした。同氏はタイム誌に対し、提案が胡散臭いと思い、断ったと語っている。

ニューヨークポスト報道との関係は?

両氏ともに、売り込まれた情報が、ニューヨークポスト紙が報じたハンター氏のメールや写真と同一のものかどうか確認できないとしている。

ポスト紙は14日、ハンター氏と、ウクライナの天然ガス会社ブリスマ社の経営幹部との間で交わされた電子メールの内容を公開し、ハンター氏が同幹部に当時副大統領だったバイデン氏を引き合わせたと報じた。

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同紙は記事の中で、メールの出所を、2019年4月にデラウエア州にあるリペアショップに持ちこまれたMacBook Proから回収されたハードドライブのコピーを、トランプ大統領の弁護士、ジュリアーニ氏から受け取ったと説明している。

リペアショップの店主はその後、メディアの取材に対し、ハンター氏のものだと考えていると述べつつ、持ち込んだ人物と直接会っていないと明かしている。

ポスト紙の報道については、素材の真正性などをめぐり、疑問視する声があがっている。ニューヨークタイムズは18日、ポスト紙内部でも、素材やソースの信頼性を懸念する声があったほか、複数の記者が記事への著名を拒んだと報じた。

NBCニュースが15日に伝えたところによると、FBIは現在、ラップトップから見つかったメールが、外国の諜報活動に関係しているかどうかについて、調査を行なっている。

ウクライナでは常態化

ウクライナでは昨年、私的なコミュニケーションを漏えいまたは売買することが日常的だったという。ゼレンスキー大統領の元アドバイザーのIgor Novikov氏はタイム誌に「新しいことではない」と述べ、特に弾劾裁判によってウクライナが米国の国政に巻き込まれたことで、加熱していたと語っている。

Novikov氏はまた、様々な政治工作員が、ジュリアーニ氏によるバイデン親子に関するネガティブな情報の求めに応えるため、「デマの触媒」を作成していたと述べ、これらの情報は「検証が非常に困難だが、偽造することは簡単」で、取り扱いには注意が必要だと語った。

なお、ニューヨークタイムズは19日、現職または元当局者の話として、米情報機関がホワイトハウスに昨年末、ロシアの諜報員がルディ・ジュリアーニ氏を、ジョー・バイデン氏に関するデマを流すルートとして利用していると警告していたと報じた。

元当局者によると、警告のきっかけとなったのは、12月5日にジュリアーニ氏がウクライナ議会のメンバーのアンドレイ・デルカッチ(Andriy Derkach)氏と会合をしたことだった。デルカッチ氏は親ロシア派で、財務省は今年9月、同氏が10年間以上、ロシアのエージェントとして活動し、2020年大統領選に干渉しようしたとして制裁対象に指定している。

国務省でバイデン氏の近しいアドバイザーとして活動したAmos Hochstein氏は、ニューヨークタイムズに「ジュリアーニは、情報機関がロシアの工作員だと特定した人々と会ったことを隠していない」とした上で「バイデン副大統領を傷つける情報を売り込みたいなら、ジュリアーニにそれに耳を傾ける人々がいるというのは、ウクライナ中で広く知られていることだ」と語っている。