ロシアから撤退してない?ビール大手にボイコットの声広がる

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ロシアのウクライナ侵攻開始後にロシアからの事業撤退を宣言した世界的に有名なビールブランドが、侵攻開始から1年たった今も撤退していないとして、SNSでボイコットを呼びかける声が広がっている。

きっかけは「Anonymous Operations」というユーザーが23日に投稿したツイート。ドイツの有名なビール「ハイネケン」のボトルを弾頭に見立てた加工画像に、「ハイネケンはウクライナ戦争勃発でロシアへの投資をやめると約束したのに、昨年少なくとも61の新製品をロシア市場で売り出した。どういうこと?」というコメントが添えられている。コメントには#BoycottHeinekenのハッシュタグがつけられ、画像には「ロシア殺戮の偉大な支援者」というキャプションもついている。

ウクライナ侵攻後、大手企業が続々とロシア市場から手を引き、ハイネケンも昨年3月にロシアから撤退すると宣言していた。しかし、オランダの統計専門サイトFollow the Moneyの調査資料によると、同社のロシア部門は「『記録された期間』に61の新製品の販売を開始し、ビールとソフトドリンク計7200万リットル分を売り上げた」という。

SNS上のボイコット運動を受け、ハイネケンは直ちに公式声明を発表。撤退の約束を破ったという主張は「事実無根で、誤解を招く」と反論した。

同社は、「事業を存続できる買い手に譲渡するため、懸命な取り組みをしている」最中で、その間「ハイネケンロシアの従業員が、完全な上場廃止後、国有化されるのを避け、自分たちの生活が危険にさらされないよう、できる限りの努力をしている」と現状を説明。「現地企業との間に資金のやりとりはなく、配当、社費、ロイヤリティを受け取っていない」としたほか、事業譲渡に際して「約3億ユーロの大幅な財務的損失を見込んでいる」と強調した。

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新製品の投入については「本部の支援を受けずに、完全に自分たちの力でビジネスをリードしている現地の経営陣が、財務的なギャップを埋めるために新製品を導入し、売却が完了するまでビジネスを継続する決断を下した」と説明した。今後について「移行期間中も従業員のケアを最優先とし、企業の価値観に沿い、国際法および現地の法律を完全に遵守する適切な売却先を探していく」と述べた。

それでもSNSではハイネケン側の主張に懐疑的な見方を示す声が上がり、#BoycottHeinekenのタグをつけた投稿も相次いだ。

あるユーザーは「この声明は受け入れ難い。ロシアから撤退したらいくらの損失になるか(3億ユーロ)を最初に持ってきている。これが大企業の強欲。会社はこれでロシアでの事業継続を認めてしまってる」と批判した。

別のユーザーは、「みんなハイネケンをボイコットするべき。ロシアで事業してるからじゃなくて、ビールが確実に激マズだから」とこの機に乗じて商品叩きを展開した。

「自発的に#BoycottHeinekenとツイートしてる人は、中国のブラック工場で時給1セントで働く10歳の子供が作ったスマホからやってる。偽の怒りを発動しよう」とかなり飛躍したコメントを残すユーザーもいた。

一方で、#BoycottHeinekenのタグをつけて閲覧数を稼ぎつつハイネケンを宣伝するという、トレンドを逆手にとったハイネケンファンの投稿も見られた。